日本畜産学会第130回大会

講演情報

口頭発表

4. 形態・生理

形態・生理2

2022年9月16日(金) 13:30 〜 15:40 Zoom会場4 (オンライン)

座長:松崎 正敏(弘前大農学生命)、村井 篤嗣(名大院生命農)、磯部 直樹(広大院生物圏)、小笠原 英毅(北里大獣医)

15:10 〜 15:20

[IV-16-29] 黒毛和種繁殖牛の周産期における代謝プロファイルとその特性

*大屋 拓斗1、盧 尚建1、深澤 充1、金 民知1 (1. 東北大学 大学院農学研究科 )

【目的】黒毛和種繁殖牛の周産期はおける体内の代謝産物やホルモンの動態の解析による代謝特性を明らかにすることは、分娩前後の栄養・飼養管理において重要である。そこで、本研究では黒毛和種繁殖牛の周産期における代謝産物の血中濃度を解析し、各代謝産物の濃度変化にどのような特徴があるかを検討することを目的とした。
【方法】黒毛和種繁殖牛15頭供試し、分娩後-4、-1、0、1、4週に採血を行った。血中代謝産物29成分とインスリン、IGF-1、コルチゾールの濃度を分析し、各種代謝産物とホルモンについて分娩前後期との関連性を解析した。また、同牛群から出産された子牛の生体重を基に、上位4個体(HIGH区)と下位4個体(LOW区)を選定し、生体重の違いによる分娩前後期と各血中代謝物との関連性を解析した。
【結果】βヒドロキシ酪酸と遊離脂肪酸が分娩前と比較し分娩後に徐々に低下した。インスリンとIGF-1は分娩時に高値を示し、分娩直後に低下し、分娩後4週目に上昇が見られた。また、総コレステロール、βヒドロキシ酪酸はHIGH区で常に高値を示し、IGF-1は分娩前にHIGH区で高値であった。以上の結果により、上記代謝産物は周産期の母牛の栄養状態の推定に有用な指標であると示唆された。また、繁殖成績の良い個体では、エネルギー動員に関わる代謝産物の濃度が高く、これが子牛の成長に関与していると考えられる。