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[V-16-03] 肥育中期における放牧形態が黒毛和種肥育牛の産肉成績に及ぼす影響
【目的】近年家畜飼料は高騰化の一途を辿っており、黒毛和種肥育牛における肥育形態や飼料配合並びに飼料添加物等の検討により、効率的な食肉生産が期待されている。本試験では、肥育方法の改良のため、放牧を取り入れた肥育体系技術の相違による肥育試験を行い、食肉の栄養特性に及ぼす影響について検討した。【方法】宮崎県畜産試験場において肥育試験されている黒毛和種去勢牛13頭を用い、対照区は30カ月齢まで慣行飼養肥育した6頭、放牧区は18カ月齢から26カ月齢まで試験場内にて放牧し、それ以降は30カ月齢まで慣行飼養肥育した7頭とした。これらから得られた試料肉を用いて各種分析に供した。【結果】脂質含量では、対照区が約1.4倍高値を示した。脂肪酸組成では、対照区の不飽和脂肪酸が高値を示し、相反して飽和脂肪酸が低値を示した。遊離アミノ酸含量では、両区ともにグルタミンおよびアラニン含量が高値を示した。その他のアミノ酸に関しては明白な差異は認められなかったが、どの遊離アミノ酸も放牧区の方が高い値を示した。ビタミンE含量では、ロース肉で放牧区が約1.2倍となった。ドリップロスおよび加熱損失に関しては明白な差異は認められなかった。ロース肉の色調では差は認められなかったが、放牧区の脂肪組織においてb*値が約2倍の値を示した。以上のことから、放牧形態を取り入れることにより肉質に影響を与える可能性があることが示唆された。