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[V-16-13] HTST乳中の生残菌がLactobacillus gasseri TMC0356株の生育に及ぼす影響
【目的】これまでの検討で、超高温瞬間殺菌(UHT)乳と高温短時間殺菌(HTST)乳にL.gasseri TMC0356株(以下、TMC0356)を接種し37℃で培養を行った場合、培養初期の生育には差がないものの、培養48時間後ではHTST乳での生育が良好になった。これは、HTST乳中に殺菌後も残存する微生物(生残菌)が乳タンパク質を分解したことで、TMC0356の生育促進に有用な低分子窒素化合物が増加したためだと考えた。本検討では、HTST乳中の生残菌が生産した窒素化合物を、TMC0356が利用するかを確認することを目的とした。 【方法】加温処理(37℃,16時間)したHTST乳と、間欠滅菌により生残菌を完全に死滅させた後に加温処理を行ったHTST乳、未処理のHTST乳からpH4.6可溶性画分を調製し、PLRP-S カラムを装着したHPLCでグラジェント分析した。次に、加温処理したHTST乳にTMC0356を接種し培養を行い、HPLC分析した。 【結果】加温処理したHTST乳では、未処理のHTST乳に比較してRt.7.5~10.0minの溶出画分(A画分)が増加した。一方、間欠滅菌を行ったHTST乳ではA画分は増加しなかった。TMC0356を接種した加温処理HTST乳ではA画分は減少していた。以上より、TMC0356はHTST乳中の生残菌が生産した窒素化合物を利用していることが示唆された。