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[VI-16-11] パラグアイのカアグアス県の乳牛におけるレプトスピラ症の疫学調査
【背景】人獣共通感染症であるレプトスピラ症の病原体が牛に感染すると主に流産や不妊症等を引き起こす。2019年から2021年にパラグアイで飼養され、検査対象となった17,021頭中10,983頭が血清陽性であった。しかし、乳牛を対象とした無作為サンプリングによって有病率や生殖器中で検出されるLeptospira sp.の存在については不明である。そこで、パラグアイの乳牛におけるレプトスピラ症の疫学的特徴を明らかにする調査を実施した。【方法】2022年3月にパラグアイ東部カアグアス県の5軒の農場で、計50頭の乳牛の血液と膣粘液を採取した。血清を用いて顕微鏡的凝集試験を行い、抗体価200以上の検体を血清陽性と判断した。また、メトリチェックにより採取した膣粘液のDNAを抽出後、Leptospira sp.を特異的に検出するlipL32遺伝子を標的としたプライマーを使用してNested PCR検査を行った。【結果】血清学的検査では50頭中38頭が血清陽性を示し、血清陽性牛のうち37頭が血清型Wolffiであった。分子生物学的検査では50頭中9頭の膣粘液中にLeptospira sp.が存在し、そのうち7頭は血清型Wolffi、2頭は血清陰性であった。以上の結果から、対象地域の乳牛で血清型Wolffiが蔓延しており、一部のLeptospira sp.は生殖器中で生息している可能性が示唆された。