日本畜産学会第130回大会

講演情報

口頭発表

6. 管理・環境

管理・環境

2022年9月16日(金) 13:00 〜 17:00 Zoom会場6 (オンライン)

座長:杉野 利久(広大院生物圏)、矢用 健一(農研機構 畜産研究部門)、石川 志保(酪農学園大学)、森田 茂(酪農学園大農食環境)、阪谷 美樹(農研機構畜草研)、竹田 謙一(信州大学)、黒川 勇三(広島大学)、檜垣 彰吾(農研機構)

14:40 〜 14:50

[VI-16-12] D-Alanine 要求性黄色ブドウ球菌の生育特性および復帰変異株の解析

*佐々木 飛翔1、石井 祐輔1、下田 蒼1、戸部 隆太1、安藤 太助1、米山 裕1 (1. 東北大学院農)

【目的】  黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)はウシ乳房炎の主要起因菌の一つである。S. aureusの細胞壁必須構成成分であるD-alanine (D-Ala)代謝経路は未知の領域が多く残っており、その解明は新しい抗菌薬開発につながることが期待される。そこで本研究では化学変異誘発剤で誘導したD-Ala要求変異株の特性解析を行った。  
【方法】  2つのアラニンラセマーゼ遺伝子alralr2破壊株に化学変異誘発剤処理をして取得したD-Ala要求株TA#1、TA#3のD-アミノ酸転移酵素遺伝子datのシーケンス解析を行った。次いでTA#1、TA#3のD-Ala非添加条件下における生育特性を評価した。
【結果】 D-Ala要求株TA#1およびTA#3のdat遺伝子にそれぞれ異なる点突然変異が生じていることが明らかとなった。これらの遺伝子変異により、TA#1株ではD-アミノ酸転移酵素の180番目のSerがPheに、TA#3株では140番目のTrpがstop に変換されていた。またD-Ala非添加培地での復帰変異株の出現パターンはTA#1とTA#3で明らかに異なっていた。そこで両菌株のゲノムには異なる突然変異が存在することが考えられたため、TA#1とTA#3のD-Ala飢餓ストレスに対する応答性の違いを明らかにするために、両変異株の全ゲノム解析を行った。