The 94th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

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6 Virulence Factors and Biophylaxis

[ODP6G] g. Others

[ODP-187] The mechanism of LL-37-induced autophagy and cell death in endothelial cells

○Kaori Suzuki1, Isao Nagaoka1,2 (1Dept. Host Defense & Biochem Res, Juntendo Univ. Sch. Med, 2Fac. Health Science, Juntendo Univ.)

【背景】LL-37はヒト好中球や上皮細胞が産生する抗菌ペプチドであり,宿主細胞にも作用する。LL-37は動脈硬化症患者の血管壁に蓄積すること,また,LL-37の相同体であるCRAMPの欠損マウスは野生型マウスに比べてプラーク形成が誘導されにくいことから,LL-37が動脈硬化の病態に関わると考えられる。一方,動脈硬化の病態において,血管内皮細胞のオートファジーの低下や細胞死が報告されている。そこで我々は,血管内皮細胞のオートファジーに対するLL-37の効果とそのメカニズムについて検討した。
【結果・考察】LL-37はHUVECs(ヒト臍帯静脈内皮細胞)にオートファジーを誘導した。このとき,LL-37は核周囲に局在し,次第に分解された。また,LL-37はオートファジーの分解標的を認識するp62と結合したため,LL-37がp62を介してオートファゴソームに取り込まれて分解されると考えられた。一方,LL-37はオートファジーの低下したatg7 knockdown (KD) 細胞に細胞死を誘導した。このとき,LL-37の細胞内蓄積と分解遅延がみられた。さらに,atg7 KD細胞においてLL-37はタンパク質凝集体を増加させ,LL-37を含む凝集体が死細胞で高頻度に検出された。これらの結果から,LL-37は血管内皮細胞に取り込まれてオートファジーにより分解されるが,オートファジー不全の状況では細胞内に蓄積,凝集体を形成し,細胞死を誘導すると考えられた。したがって,動脈硬化症でみられるオートファジー不全の状況において,LL-37は血管内皮細胞に細胞死を誘導して動脈硬化の病態に関わる可能性が示された。