[O116-2] PICSを予防できた重症肺炎の1例
【背景】PICS (post-intensive care syndrome) は集中治療室 (ICU) に入室した患者に身体機能や認知機能の低下,精神障害を生じる症候群である.ICU在室中から退室後,さらに退院後も長期にわたる障害でありQOLの低下につながる.PICSには患者家族に生じる不安障害や急性ストレス障害等の精神障害もPICS-Fとして含まれ,PICSに対する予防や対策が重要となる.重症肺炎のためICUに入室し治療には難渋したが,PICSを防ぐことができた症例を報告する.
【臨床経過】70歳台女性,A型インフルエンザ感染を契機とした肺炎および慢性腎不全の急性増悪のため当院へ搬送,ICU入室となった.第1病日にペラミビル投与と持続血液濾過透析 (CHDF) を開始,翌日より非侵襲的陽圧換気 (NPPV) を必要とした.デクスメデトミジン持続静脈内投与,せん妄予防としてラメルテオン投与を開始した.第3病日の胸部CT検査で空洞病変の出現,喀痰培養でブドウ球菌が検出され,インフルエンザとブドウ球菌の混合感染による重症肺炎と診断した.同日よりリハビリテーションを開始,第4病日にはNPPVから高流量鼻カニュラ (HFNC) での酸素投与に切り替えて経口摂取を再開した.第11病日に再び発熱したため感染制御部にコンサルトしたところ,抗菌薬の変更と絶食を提案されたが,嚥下機能評価で問題なかったため食事は継続とした.第13病日にICUを退室したが,第24~40病日にかけて肺炎の再燃と肺水腫の増悪を繰り返した.NPPV,HFNCの使用を必要としたが,栄養療法と可能な範囲でのリハビリテーションを継続した.内シャント造設,間歇的血液透析を導入し,第89病日に独歩で転院,その約3か月後に自宅退院となった.家族に関しては,キーパーソンが1,300km遠方に住んでいたが,初療時より電話連絡を含め病状説明を繰り返し行い,不安表出などに対しては医師,看護師で共有しながら対応した.転院先への情報提供や,ソーシャルワーカーによる退院後の環境整備なども協力しながら家族の精神的サポートも行い,PICS-Fの予防も達成することができた.
【結論】重症肺炎患者に対してせん妄予防や栄養療法,リハビリテーション,家族ケアなど,治療早期から多職種による介入を行うことで,PICSを発症することなく自宅退院とすることができた.
【臨床経過】70歳台女性,A型インフルエンザ感染を契機とした肺炎および慢性腎不全の急性増悪のため当院へ搬送,ICU入室となった.第1病日にペラミビル投与と持続血液濾過透析 (CHDF) を開始,翌日より非侵襲的陽圧換気 (NPPV) を必要とした.デクスメデトミジン持続静脈内投与,せん妄予防としてラメルテオン投与を開始した.第3病日の胸部CT検査で空洞病変の出現,喀痰培養でブドウ球菌が検出され,インフルエンザとブドウ球菌の混合感染による重症肺炎と診断した.同日よりリハビリテーションを開始,第4病日にはNPPVから高流量鼻カニュラ (HFNC) での酸素投与に切り替えて経口摂取を再開した.第11病日に再び発熱したため感染制御部にコンサルトしたところ,抗菌薬の変更と絶食を提案されたが,嚥下機能評価で問題なかったため食事は継続とした.第13病日にICUを退室したが,第24~40病日にかけて肺炎の再燃と肺水腫の増悪を繰り返した.NPPV,HFNCの使用を必要としたが,栄養療法と可能な範囲でのリハビリテーションを継続した.内シャント造設,間歇的血液透析を導入し,第89病日に独歩で転院,その約3か月後に自宅退院となった.家族に関しては,キーパーソンが1,300km遠方に住んでいたが,初療時より電話連絡を含め病状説明を繰り返し行い,不安表出などに対しては医師,看護師で共有しながら対応した.転院先への情報提供や,ソーシャルワーカーによる退院後の環境整備なども協力しながら家族の精神的サポートも行い,PICS-Fの予防も達成することができた.
【結論】重症肺炎患者に対してせん妄予防や栄養療法,リハビリテーション,家族ケアなど,治療早期から多職種による介入を行うことで,PICSを発症することなく自宅退院とすることができた.