第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

チーム医療

[O116] 一般演題・口演116
チーム医療01

2019年3月2日(土) 15:00 〜 16:00 第20会場 (グランドプリンスホテル京都B2F ゴールドルーム)

座長:植村 桜(地方独立行政法人 大阪市民病院機構 大阪市立総合医療センター 看護部)

[O116-4] 呼吸数測定に対するRST活動の成果と報告

前田 倫厚, 岡 啓太, 中川 琢磨, 橋本 壮志 (京都岡本記念病院 特定集中治療室)

【背景】呼吸数測定は急変予知の重要な材料になる。当院の病棟では急変前段階でも呼吸数が測定されていない現状がある。また、人工呼吸器を含む酸素媒体を使用している患者に対しても、呼吸数を測定していない場合もある。【目的】 今回、院内の呼吸数測定の実態を調査し、そこから1、RSTリンクナースの活動によって呼吸数測定を浸透させること。また、2、この活動によって院内の看護の質の向上をはかり、急変を未然に防ぐことができるのかを目的とする。【方法】2017年4月から、各病棟のリンクナースと連携を開始する。半年毎に呼吸数測定に関連した勉強会を開催した。勉強会前後、呼吸数測定の調査をおこなう。(ただし、ICU、HCUは100%の測定率のため省く。)毎月一回、リンクナースより各病棟の現状報告をしてもらい対応策を検討する。週一回のRSTラウンドで報告のあった病棟へ啓蒙活動をおこなう。RRTと協力して急変時の呼吸回数の測定状況を調査する。【結果】活動前の呼吸回数測定数12%(n=349) 2ヶ月の啓蒙活動と勉強会直後30%(n=334) 半年後32%(n=324)1年後28%(n=367)(途中勉強会あり)心肺停止症例に対して事前に呼吸数測定をおこなっていた18%(n=28)目的1、に対しては活動による成果はあり、特に酸素デバイス使用の患者や2回/日以上測定している看護師も増えている。ただし、病棟間で大きく差がでだしてきている。また、定着化するまでには至っていない。目的2、に対しては、心肺停止を含むショック状態になった患者の前段階での呼吸数測定がおこなわれていなかったケースが多い。【結論】RSTリンクナースの活動によって、着実に呼吸数測定を浸透させていくことはできる。また、RSTという第三者的立ち位置ではなく、リンクナースが各病棟で呼吸数を測定することを発信することでスムーズに受け入れることができる。ただし、リンクナースの啓蒙の仕方で病棟間の認識に差が生じてしまう。急変時の測定率の低さから、現時点では現状の活動だけでは未然に防ぐことに大きく関与できていない。呼吸数測定の活動だけでなく、呼吸の意義や呼吸数が急変のサインであることの理解をしっかり深めていく必要がある。