第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

チーム医療

[O117] 一般演題・口演117
チーム医療02

Sat. Mar 2, 2019 4:00 PM - 5:00 PM 第20会場 (グランドプリンスホテル京都B2F ゴールドルーム)

座長:乾 早苗(金沢大学附属病院 救急部)

[O117-5] 重症患者管理チェックリストはEICU入室患者のアウトカムに影響するか

松尾 照美1, 牟田 和美1, 鶴田 弥生1, 北村 真理1, 椛島 久美子1, 永嶋 太2, 櫻井 良太2, 直塚 博行3 (1.佐賀大学医学部附属病院 看護部 EICU, 2.佐賀大学医学部附属病院 救急部, 3.佐賀大学医学部附属病院 リハビリテーション部)

【背景】当院EICUでは,医師によって治療方針が異なり看護師が戸惑うことがあった.また,看護師も情報収能力やアセスメント能力は異なり重症患者管理の介入に差異があった.そこで,以前から使用していた独自のチェックリストを改訂した重症患者管理チェックリスト(以下,改訂版チェックリスト)を作成し,2017年7月から多職種の回診時に活用した.このことで,チーム内で情報共有できEICU在室日数や在院日数の短縮などが期待できると考えた.
【目的】改訂版チェックリストがEICU入室患者のアウトカムに影響しているか検討する.
【方法】当院EICUに入室した患者を対象とし,心肺停止蘇生後,急性冠症候群,転入,調査時点で入院中,EICU在室日数1日の患者は除外した.対象は,チェックリスト改訂前の2017年1~3月にEICUに入室した患者をPre群,改訂後の2018年1~3月にEICUに入室した患者をPost群とし単施設前後比較検討を行った.EICU入室患者のアウトカムの調査項目は,EICU在室日数,在院日数,呼吸器管理期間,経腸栄養開始までの期間,PT介入までの期間,死亡率,退院時ADL状況,退院時転帰とした.また,データ分析はJMPver13.1を使用し,Wilcoxon順位和検定,χ二乗検定を行った.
【結果】Pre群58名,Post群60名であった.両群背景因子である診療科,年齢,入院時の看護必要度A項目ICU基準の点数,呼吸器装着患者数で有意差はなかった.EICU在室日数はPre群7.6日/Post群6.2日(p=0.33),在院日数はPre群30.0日/Post群29.3日(p=0.33),死亡率Pre群12.0%/Post群6.6%(p=0.59)であった.経腸栄養開始までの期間はPre群2.2日/Post群2.2日(p=0.98)であった.呼吸器装着期間はPre群6.7日/Post群9.1日(p=0.06),PT介入までの期間はPre群5.3日/Post群5.9日(p=0.29)であった.退院時転帰は,死亡Pre群15.5%/Post群13.3%,転院Pre群58.62%/Post群70.0%,退院Pre群25.8%/Post群16.6%(p=0.39)であった.退院時ADL状況は,床上Pre群32.8%/Post群26.7%,車椅子Pre群27.6%/Post群33.3%,歩行Pre群39.7%/Post群40.0%(p=0.06)であった.
【結論】改訂版チェックリスト活用前後におけるアウトカムの各調査項目で,有意に期間が短縮したものはなかった.しかし,EICU在室平均日数,在院平均日数は短縮し,死亡率や退院時ADL状況は改善している.そのため,引き続き改訂版チェックリストを活用しEICU入室患者のアウトカム改善に寄与する要因を調査する.