第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

チーム医療

[O118] 一般演題・口演118
チーム医療03

Sat. Mar 2, 2019 5:00 PM - 5:50 PM 第20会場 (グランドプリンスホテル京都B2F ゴールドルーム)

座長:伊藤 有美(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻)

[O118-5] 東北医科薬科大学病院における救急日当直医師と診療を共にする診療看護師の現状調査

中川 恵子, 佐竹 雅史, 黒澤 恵美子, 大村 拓, 川本 俊輔, 遠藤 智之 (東北医科薬科大学病院 救急科)

【背景】 
米国では1960年代に医師に近い看護師としてNurse Practitioner(以下NP)が小児、過疎化地域医療に誕生し、現在では急性期・慢性期・小児など合わせNP数は22万人に及ぶ。日本でも2008年に診療看護師(日本版NP)の養成が始まり、2010年に日本初のNPが誕生した。2014年の保健師助産師看護師法の改正により、法的にも特定行為が認められている。
【目的】 
当院では2012年よりNPを採用し現在3名のNPが活動している。2015年より救急の日当直医師と共にNPが救急診療に従事している。このような救急分野におけるNPの活動が医師、看護師からどのように評価されているか明らかにすることを目的とした。
【方法】 
対象は2016年4月~2018年3月までに救急日当直に従事し、NPと働いたことのある医師または救急外来看護師。調査内容は経験年数、特定行為やその手技、臨床推論・知識、コミュニケーション能力、今後実施してほしい行為など計14項目。調査期間は平成30年4月1日~5月30日、対象者に無記名の専用アンケート用紙を配布し回収した。
【結果】 
該当医師49名、有効回答者36名(回答率73.4%)、該当看護師18名、有効回答者15名(回答率83.3%)。医師の経験年数は6~20年目が大半であり、看護師は0~5年目が多かった。NPと協働での診療の流れ、患者への利益、特定行為やその手技、臨床推論・知識、コミュニケーション能力に関して、医師は89%以上、看護師は100%が好意的な回答であった。今後実施してほしい行為に関しては、医師、看護師ともに代行処方が多かった。自由記載では、「とても助かる」という意見が医師・看護師ともに多かったが、一部の医師、看護師から、診療行為範囲や責任の所在が不明確であるとの意見があった。
【結語】 
NPが救急日当直医師と協働して従事することに関して、医師、看護師ともに好意的に捉えていることが明らかとなった。現在当院で認可されていない行為の中で、医師、看護師ともに代行処方の希望が多く、このような現場のニーズに対して病院としてNPの役割をどこまで拡大するかは今後の課題である。NPの役割として、特定行為自体ができるということよりも、医師側、看護師側のどちらか側の立場でもフレキシブルに診療に参加できることが評価されていると考えられる。