[O12-3] 高酸素性慢性肺疾患モデルにおいて肺胞洗浄液中の好中球由来microvesicleは増加している
【背景】新生児慢性肺疾患(BPD)は、早産児の未熟な肺に生じる炎症のために肺胞と毛細血管の発達が停止することで生じる。成長に伴う改善は稀で、新生児期の遷延する呼吸不全、小児期の反復する重症呼吸器感染症、成人期の閉塞性障害など機能予後に重大な影響を及ぼす。Microvesicle(MV)は細胞の活性化により放出される0.05-1μmの細胞外小胞であり、micro RNAやサイトカインなどを含有し、細胞間情報伝達に重要な役割を果たす。BPDにおけるMVの動態とその役割は知られていない。
【方法】C57BL/6新生仔マウスを高酸素(FIO2 0.8, BPD群)もしくは空気(FIO2 0.21, Ctrl群)に1-3週間曝露してBPDモデルを作成。Flow cytometryを用いて肺胞洗浄液(BALF)中のMVを解析した。MVの由来(親細胞)は細胞特異的表面マーカー(好中球:CD45+CD11b、肺胞マクロファージ:CD45+CD11c)を用いて同定した。統計解析はnormalityに関してSPSS 24.0にて解析後にPrism 7.0eを用いて行った。
【結果】BALF中肺胞マクロファージ由来(AM-derived)MVは、全ての週においてBPD群とCtrl群で有意差を認めなかったが(図b)、好中球由来(PMN-derived)MVは1週時点からBPD群で有意に増加していた(図a)。
【結論】BPD群において高酸素暴露後早期から継続して肺胞内PMNの著明な活性化が認められた。BALF中のPMN由来MVは新規バイオマーカーとして臨床応用できる可能性に加え、その内容物の解析を通してBPD発症機構を明らかにできる可能性があると考えられる。
【方法】C57BL/6新生仔マウスを高酸素(FIO2 0.8, BPD群)もしくは空気(FIO2 0.21, Ctrl群)に1-3週間曝露してBPDモデルを作成。Flow cytometryを用いて肺胞洗浄液(BALF)中のMVを解析した。MVの由来(親細胞)は細胞特異的表面マーカー(好中球:CD45+CD11b、肺胞マクロファージ:CD45+CD11c)を用いて同定した。統計解析はnormalityに関してSPSS 24.0にて解析後にPrism 7.0eを用いて行った。
【結果】BALF中肺胞マクロファージ由来(AM-derived)MVは、全ての週においてBPD群とCtrl群で有意差を認めなかったが(図b)、好中球由来(PMN-derived)MVは1週時点からBPD群で有意に増加していた(図a)。
【結論】BPD群において高酸素暴露後早期から継続して肺胞内PMNの著明な活性化が認められた。BALF中のPMN由来MVは新規バイオマーカーとして臨床応用できる可能性に加え、その内容物の解析を通してBPD発症機構を明らかにできる可能性があると考えられる。