[O122-2] 救急外来における院外心肺停止患者の現状と看護の実際
【背景】A病院は2次救急輪番病院で年間約6000台の救急車を受け入れており、院外心肺停止症例(以下、CPA)も搬送されている。CPA患者が搬送されると心肺蘇生(以下、CPR)の実施・継続、処置や記録など様々な業務に追われる。さらに家族への対応など看護と業務を同時並行的に行っていかなくてはならない。新病院新築移転に伴い救急部門を拡充する計画があり、救急外来における家族看護や悲嘆ケアの重要性も増していくものと思われる。そこで現在のCPA患者と看護の状況について分析を行い今後の救急外来看護にいかす必要があると考えた。【目的】A病院救急外来におけるCPA患者の現状と看護師の関わりを分析し課題を明らかにする【方法】後方視的研究とした。2017年5月1日から2018年4月30日までに搬送されたCPA患者をリストアップし、電子カルテから患者の属性、搬送時の状態、救急外来での処置、看護師の関わり、心肺停止となった原因、転帰について情報を収集した。数値は統計的に、他の情報は記録の内容分析を行った。本研究は所属施設の研究倫理審査委員会の承認を得て実施した。【結果】調査期間中のCPA患者の総数は35例で、内訳は男性22、女性13、平均年齢78.4±14.1歳、警察の検死となったのは17例であった。35例中心拍再開(以下、LOSC)は4例、うち2例は48時間以内に死亡、軽快退院したのは2例であった。軽快退院した2例は肺実質疾患であった。搬送から死亡確認までの平均時間は52.4±47.5分でCPRの有無が死亡確認までの時間に影響を与えていた。死亡原因は大動脈解離、脳出血、急性心筋梗塞、急性肺塞栓症、肺炎、消化管出血等で、末期がんも2例含まれていた。記録上には、医師から家族への説明、CPR記録および処置記録はあるものの看護の実施に関するものはみあたらなかった。【結論】A病院のCPA患者の社会復帰率は5.7%で全国平均と比べて低くはない。死亡原因として末期がん患者が含まれており、がん患者の救急搬送時の終末期対応を院内で統一していく必要がある。救急外来において家族看護を共有、教育していくにはナラティブなどの方法を検討していかなくてはならない。