第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

リハビリテーション

[O125] 一般演題・口演125
リハビリテーション11

2019年3月2日(土) 15:50 〜 16:40 第21会場 (グランドプリンスホテル京都B1F ローズルーム)

座長:丸谷 幸子(名古屋市立大学病院 ICU)

[O125-5] 開心術後患者に対するICU早期離床フローチャートの有用性

山川 貴史1, 上原 真紀乃1, 比嘉 華奈1, 玉城 遼2, 阿部 陛之3, 徳嶺 恵美1 (1.沖縄県立南部医療センター・こども医療センター, 2.沖縄県立南部医療センター・こども医療センター リハビリ科, 3.沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 心臓血管外科)

【背景】H29年集中治療医学会において「集中治療室における早期リハビリテーション、エキスパートコンセンサス」が発表され、平成30年度診療報酬改定おいても「早期離床・リハビリテーション加算」が新設されるなど、リハビリテーションの重要性が注目さている。【目的】当院ICUの入室患者は、心臓血管外科の患者が最も多いが、術後の安静度や早期リハビリテーションに取り決めがなく、離床への介入は担当看護師に任されている現状であった。リハビリテーション体制の標準化を図り、統一したケアの提供を目的として、当院ICU独自のICU早期離床フローチャートを作成した。ICU早期離床フローチャートの導入が、患者の早期離床に影響を及ぼすと仮定し検証する。【方法】2018年4月より、当院独自のICU早期離床フローチャートを作成・導入した。フローチャートの離床段階(以下モビリティレベル)を、レベル0:頭位≦30°、レベル1:頭位≧30°維持、レベル2:座位、レベル3:車椅子、レベル4:歩行と設定した。2017年度の開心術後患者85名を比較群、2018年4月から8月までの早期離床フローチャート導入後の開心術後患者49名を介入群とし、モビリティレベル0から4の平均達成日数とICU平均在室日数を比較した。比較群、介入群ともに緊急手術の症例は除外とし、冠動脈バイパス術、弁膜症手術、大血管手術にカテゴリー分けし、比較した。統計学的処理には、T検定を行い有意水準は5%未満とした。【結果】冠動脈バイパス術、弁膜症手術、大血管手術ともにモビリティレベル1、2は達成日数に有意差を認めなかった。モビリティレベル3は、介入群で、冠動脈バイパス術-1.2日(p=0.06)、弁膜症手術-1.2日(p<0.05)、大血管手術-0.9日(p=0.05)であった。モビリティレベル4では、介入群で、冠動脈バイパス術-4.0日(p<0.05)、弁膜症手術-2.4日(p<0.05)、大血管手術-2.4日(p<0.05)と早期離床の結果が得られた。ICU在室日数は、比較群7.3±4.9日、介入群6.2±3.1日(p=0.07)と統計学的有意差は認められなかったが、ICU早期離床フローチャートを使用することで、モビリティレベル達成日数、ICU在室日数ともに短縮する傾向であった。【結論】開心術後患者に対するICU早期離床フローチャートの導入は、ICUでのリハビリテーションの標準化を図ることができ、統一したケアの介入と、早期離床を進める有用なツールとなることが示唆された。