第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

血液浄化 症例

[O133] 一般演題・口演133
血液浄化 症例02

2019年3月2日(土) 16:20 〜 17:10 第22会場 (グランドプリンスホテル京都1F ロイヤルルーム)

座長:三木 隆弘(日本大学病院 臨床工学室)

[O133-3] 重症急性膵炎に対してAN69ST膜、PMMA膜を用いて持続的血液浄化療法を施行した一例

水瀬 一彦1, 眞 隆一1, 太田 慧2 (1.国立病院機構 東京医療センター 麻酔科 臨床工学技士, 2.国立病院機構 東京医療センター 救急科)

【はじめに】重症急性膵炎では、合併する急性腎不全に対してrenal indicationでの血液浄化療法に加え、サイトカイン除去を目的としたnon-renal indicationでの血液浄化療法を行うことにより安全に全身管理を行うことが可能である。今回、重症急性膵炎に対してAN69ST膜とPMMA膜を用いた持続的血液浄化療法(以下CBP)を施行し、救命し得た症例を経験したので報告する。【症例及び経過】心窩部痛を主訴に当院救命救急センターに救急搬送された56歳男性。アルコール性急性膵炎(CT grade1点、予後因子2点)の診断にて救命救急センターに入院し、ガベキサートメシル酸塩、メロペネム投与のうえ全身管理を開始した。第3病日にはCT grade2点、予後因子5点と重症急性膵炎の診断基準を満たし、呼吸・循環状態が悪化したため人工呼吸器下での全身管理が必要となった。また、乏尿や電解質異常も来たしrenal indicationでの血液浄化療法も必要であり、炎症性メディエーター除去も期待してAN69ST膜でのCBPを開始した。しかしその後も血行動態に変化が見られず、第5病日にPMMA膜によるCBPへ移行した。PMMA膜へ変更後、体温低下に加え、尿量増加、循環動態安定化を認め、第9病日にCBPを離脱することが可能であった。【まとめ】重症急性膵炎に対するPMMA膜を用いたCBPは有効な治療法であるという報告もあり、本症例においてもPMMA膜へ変更後、体温低下や尿量増加、循環動態改善を認め、有効な治療法であったと考えられる。また、AN69ST膜も炎症性メディエーターの吸着特性を有しているが、急性膵炎に対する有効性については今後も症例を重ねた検討が必要である。