第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

家族支援

[O138] 一般演題・口演138
家族支援

2019年3月3日(日) 08:45 〜 09:45 第11会場 (国立京都国際会館1F Room C-2)

座長:比田井 理恵(千葉県救急医療センター)

[O138-3] ICUで人工呼吸器管理を受けた患者の体験と看護支援の検討

神家 ひとみ, 久保 文乃, 栗林 勇斗, 端近 真子, 依岡 美里, 大坪 佳代 (高知大学 医学部 附属病院)

<背景>
ICU入室経験者の多くは、記憶の欠落や非現実的な体験を抱えて療養生活を送っていることが明らかにされている。また、PICS発症には人工呼吸日数やICU滞在日数が関連するといわれており、人工呼吸器管理を行う患者の病態を把握しながら患者のニードや体験を理解しケアを行うことが重要である。
<目的>
ICUで人工呼吸器管理を受けた患者の体験内容を明らかにし、ICU入室中の有効な看護支援を検討することを目的とした。
<方法>
当院ICUで人工呼吸器管理を3日以上行った者に半構成的面接を実施し質的帰納的分析を行った。所属施設の臨床看護研究倫理審査承認後、2017年8月~2018年1月の期間に対象者の同意を得て実施した。
<結果>
対象者は6名で、40~70歳代の男性5名、女性1名であり、予定手術5名、緊急手術1名、ICU入室期間6~13日、挿管時間43~140時間であった。
ICUで人工呼吸器管理を受けた患者の体験内容として、【集中治療やケアに伴う身体的苦痛】【集中治療や特殊な治療環境に伴う精神的苦痛】、【治療に伴う日常生活の変化による社会的苦痛】、【死を連想することによる霊的苦痛】、【非現実的な現象に伴う不快感】、【看護ケアによる安寧の獲得やスタッフへの気兼ね】、【五感を駆使した状況の認識】、【自分なりの対応策の見出し】、【生きることに前向きになり回復意欲が湧く】、【家族の面会による安心感】の10カテゴリと35サブカテゴリが抽出された。これらより3つの特徴が明らかになり、〔全人的な苦痛を抱えながら治療やケアを受ける〕では、患者は【集中治療やケアに伴う身体的苦痛】や【死を連想することによる霊的苦痛】を抱えながら【看護ケアによる安寧の獲得やスタッフへの気兼ね】をしていた。また、〔特殊な治療環境においても自分なりに状況を捉え対策を見出す〕では、【五感を駆使した状況の認識】により【自分なりの対応策の見出し】をしており、〔看護ケアや家族の存在により生きることに前向きになる〕では、危機的な状況下で【家族の面会による安心感】を得たり医療者の対応から【生きることに前向きなり回復意欲が湧く】という体験をしていた。
<結論>
ICUで人工呼吸器管理を受けた患者は、特殊な環境下で自分なりに状況を認識し看護ケアや家族の存在により生に前向きになる体験をしていた。看護師は、ABCDEバンドルの遵守に加え患者が体験を整理できるように関わり、面会時間を調整し家族の協力を得る必要がある。