第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

感染・敗血症 研究

[O145] 一般演題・口演145
感染・敗血症 研究07

Sun. Mar 3, 2019 8:45 AM - 9:25 AM 第13会場 (国立京都国際会館1F Room F)

座長:笹野 幹雄(敬愛会 中頭病院 集中治療科)

[O145-2] VAPバンドル定着によるIVAC発生率の推移の検証 ーVAEサーベイランスを用いたVAPへの早期予防ー

土門 修平, 片山 雪子, 薄葉 恭至 (地方独立行政法人 山形県・酒田市病院機構 日本海総合病院)

【目的】人工呼吸器関連肺炎(以下VAP)はICU在院日数や死亡率を増加させる。しかしその診断は難しく、治療の遅れによる症状の重症化が問題となっている。今回A病院集中治療室(以下ICU)における挿管患者をVAEサーベイランスにかけて評価した。またA病院ICUにおいて個人の遵守率の差が出やすく、手技や実施方法が統一されていない手指消毒の質の向上と頭高位保持の遵守率を向上させることで、集中治療医学会が推奨するVAPバンドルの遵守をより質の高いものとなるよう試みた。介入前後でのVAC・IVACの発生率の変化を調査することで今後のVAP予防における対策を検討した。【方法】ICUへ入室した48時間以上人工呼吸器管理を受けた20歳以上の患者を対象とし、平成26年-28年までの3年間の6月-9月に入室した患者を後方視的に調査しコントロール群、平成29年6月-9月に入室した患者を介入群とする。対象患者はVAEサーベイランスにて評価を行う。またICU入室期間や術式などのデータを収集し、VAC・IVAC患者とそれ以外の患者の比較を行う。VAPバンドルの遵守率を向上させるための取り組みとして、平成29年度の6月にサーベイランスとVAPバンドルについての学習会をICU全スタッフへ行う。平成29年6-9月に頭部挙上・手指消毒のラウンド及び直接観察法を行う。また毎週月曜日の始業前に手指衛生の啓蒙を行う。介入群とコントロール群、またVAC・IVAC群と非VAC・IVAC群をそれぞれエクセルにてt検定を行い、p<0.05を統計学的に有意差ありとした。【倫理的配慮】本研究は、個人情報保護を厳守し、個人が特定されないようにA病院内規定に従ってデータを取り扱った。【結果】手指消毒遵守率は介入3ヶ月で50%から84%に上昇した。頭高位保持達成率は100%であった。 介入群の人工呼吸器使用1000日あたりのVAC・IVAC発症数は減少したが、コントロール群と比較し有意差は見られなかった。その誘因として、コントロール群と比べ挿管の緊急性が高かったことや心臓血管外科患者割合が高かったことが挙げられた。VAC・IVAC群は非VAC・IVAC群に比べ挿菅・ICU在室日数が長く、統計学的有意差が見られた【結論】 手指衛生と頭部挙上についての勉強会、直接観察法やラウンドを実施することでIVAC発症率は減少しなかったが人工呼吸器使用1000日あたりの発症数は減少した。全スタッフが高いレベルでバンドルケアを継続することが VAP発症率の低下に繋がると考えた。