第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

ショック

[O15] 一般演題・口演15
ショック03

2019年3月1日(金) 17:55 〜 18:45 第7会場 (国立京都国際会館1F Room E)

座長:高澤 知規(群馬大学医学部附属病院集中治療部)

[O15-2] ノルアドレナリン抵抗性敗血症性ショックにおいて、アドレナリンの早期の投与は反応性と相関する

春日井 大介1,2, 錦見 満暁1, 沼口 敦1, 松田 直之1 (1.名古屋大学 大学院 医学系研究科 救急・集中治療医学分野, 2.藤田保健衛生大学 医学部 災害外傷外科)

【背景】ノルアドレナリン抵抗性の敗血症性ショックの症例に対しては、日本版敗血症診療ガイドライン2016においてバソプレシンおよびアドレナリンの使用が推奨されているが、アドレナリンが有効となる背景因子は不明である。【目的】ノルアドレナリン抵抗性の敗血症性ショックにおいて、アドレナリン反応性と相関する因子を解析する。ショックの遷延期間によりアドレナリン反応性が低下するという仮説を立てた。【方法】2014年1月から2017年12月までに名古屋大学医学部附属病院の救急内科系集中治療室に入室した症例のうち、ノルアドレナリン抵抗性の敗血症性ショックの症例においてアドレナリン持続投与を施行した症例を対象とした。敗血症によるCPA後および入室時のDNR症例は除外した。敗血症性ショックの定義はsepsis-3基準に準じ、ノルアドレナリン投与開始後もショックが遷延した症例をノルアドレナリン抵抗例と定義した。アドレナリン投与開始3時間後に平均動脈圧10 mmHg以上上昇もしくは乳酸値が低下したものをアドレナリン反応性ありと定義した。評価因子としてICU入室からアドレナリン投与までの時間をTime-epiとした。単変量解析にはman-whitney U 検定を、多変量解析にはロジスティック回帰分析を、傾向スコア解析にはInverse probability of treatment weighting (IPTW)法を用いた。【結果】3387例の入室症例のうち、6例のCPA後のアドレナリン使用を除外した41症例が本解析に抽出された。24例(59%)がアドレナリン反応群、17例(41%)がアドレナリン非反応群であった。年齢は 63.9 ± 15.2 歳、SOFA scoreは15 (12-16)、アドレナリン投与開始時の平均動脈圧は 51 ± 11 mmHg, 脈拍は107 ± 21回/分, 乳酸値は4.4 (2.6 - 8.9) mmol/L, ノルアドレナリンは0.2 (0.17 - 0.25) ug/kg/minだった。 Time-epi は24 (12-72) 時間だった。多変量解析ではSOFA スコア (OR: 0.48; 95% CI: 0.27-0.87; p = 0.011)とLog Time-epi (OR: 0.19; 95% CI: 0.04-0.88; p = 0.034)が有意にアドレナリン反応性と相関した。IPTW法による補正後も同様に、アドレナリン投与のタイミングはアドレナリン反応性と相関した (OR: 0.07; p = 0.001)。【結論】ノルアドレナリン抵抗性敗血症性ショックにおいて、アドレナリン投与までの期間はアドレナリン反応性と相関した。アドレナリンの併用を考慮する場合は早期に使用したほうが十分な効果が得られる可能性がある。