第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

RRS

[O150] 一般演題・口演150
RRS03

Sun. Mar 3, 2019 9:35 AM - 10:35 AM 第14会場 (国立京都国際会館1F Room G)

座長:倉迫 敏明(姫路赤十字病院 麻酔科)

[O150-5] 遠隔集中治療支援システムからCCOT(Critical care outreach team)への応用の可能性

宮下 亮一, 小谷 透, 大嶽 浩司 (昭和大学医学部 麻酔科学講座)

集中ケアの訓練を受けた看護師らが主体のCCOT(Critical care outreach team)の重要性は近年注目されている。CCOTの目的には、状態悪化の基準を満たした依頼患者への早期治療介入、基準を満たしていないハイリスク患者をサーベイランスすることでの急変予防の介入、ICU退室患者のフォローアップなどがある。これらの目的は、当院で導入された遠隔集中治療支援システム( eICU )の目的と類似している点が多い。具体的には、(1) 現場からの要請に応じて( on demand )、(2) 継続したサポートを提供し( continuous )、(3) 予防的な介入を行う( proactive )の3つである。状態変化をより早く把握し情報発信することでproactiveに対応し、criticalな結果を未然に防ぐこの類似点こそが、eICUからCCOTへの応用及び連携を生み、医療安全への新しい流れを及ぼす可能性はあると臨床現場で実感してきた。 実際の取得データとしては、遠隔医療システム導入後の入室者数、病床稼働率、在室・在院期間、再入室率、死亡率のみならず、Sentry Smart Alert ( 6項目のバイタルサインを解析し、表示されるアラート )、Automated Acuity ( 主要臓器の状態により患者の重症度を分析し表す機能 )、Discharge Readiness Score ( ICU退室準備度をスコアリングする機能 )、APACHE Report 使用することでの予防的介入による得られたデータはCCOTへの応用に期待できる。さらに遠隔医療支援記録からのベッドサイドへの支援内容、情報提供及びコンサルテーションなどを実施した際のレポートの振り返りは、今後のCCOT業務に何が必要かを示した。また、CCOTは重症患者ケアに慣れた看護師が集中治療に習熟していない病棟看護師に教育を行い、一般病棟においてもある程度の重症患者ケアを安全に行うようにするものである。つまり、看護師への教育内容も非常に重要であり、eICUでの看護師への教育内容や知識習得作業を示すことで、CCOTの中心である看護師への教育方法が新たな視点で参考になると考えている。eICU開設後から、患者が危機的状態に陥る前に発見し、安全性を確保した事例を多数経験している。この研究の試みによるデータを集積し、日本独自の実態を把握することが重要である。本発表にて、当院の遠隔医療システム及びCCOT連携の可能性をデータ及び実症例で示すことで、次世代に向けた医療安全への新しい流れを発信できればと考えている。