第46回日本集中治療医学会学術集会

Presentation information

一般演題(口演)

感染・敗血症 症例

[O17] 一般演題・口演17
感染・敗血症 症例01

Fri. Mar 1, 2019 10:00 AM - 10:50 AM 第8会場 (国立京都国際会館2F Room B-1)

座長:小林 敦子(宝塚市立病院感染対策室)

[O17-4] 両側腎摘出により救命しえた気腫性腎盂腎炎の一症例

中原 由季, 本澤 大志, 古谷 良輔, 宮崎 弘志, 望月 聡之, 大塚 剛, 佐藤 公亮, 三澤 菜穂, 松村 怜生, 武田 知晃 (国立病院機構 横浜医療センター)

【背景】気腫性腎盂腎炎は腎盂の炎症が腎実質や腎周囲組織へ波及し、細菌により産生されたガスが腎実質や腎周囲に存在する重篤な壊死性尿路感染症である。今回、両側腎摘出により気腫性腎盂腎炎から救命しえた症例を経験したので報告する。【臨床経過】59歳女性で、既往は糖尿病であった。意識障害を主訴に近医に救急搬送された。近医到着時、JCS3、心拍数120回/分、血圧106/43mmHgであった。CT上、左腎にガス像を認め、気腫性腎盂腎炎と診断された。Huangらの分類ではclass2であった。抗菌薬投与を開始し、両側尿管ステントを留置の上、集学的治療のため当院へ搬送となった。当院到着時もショックは遷延しており、人工呼吸器管理、持続的血液濾過透析、DICに対する治療を中心に集中治療を開始し、同日中にショックから離脱した。第2病日に施行した造影CTで両側腎のガス像増悪と造影不良を認めた。Huangらの分類ではclass4であった。画像所見の急激な増悪を認め、血小板減少、ショック、意識障害などから高リスクと判断し、同日に両側腎摘出術を施行した。血液培養からはEscherichia coliが検出された。第9病日に抜管し、第10病日にICU退室となった。第29病日に維持透析導入目的に転院した。【結語】気腫性腎盂腎炎の治療法は内科的治療、経皮的ドレナージ、腎摘出術などが知られているが、治療法の選択として確立した基準はなく、高い死亡率が報告されている。今回、我々は早期から集中治療を開始しショックからの離脱を図り、画像所見の悪化から腎摘出術施行を早期に決断したことが救命に繋がった要因と考える。気腫性腎盂腎炎の治療戦略について文献的考察を加え報告する。