[O19-2] 持続血液濾過透析(CHDF)施行中にメロペネム(MEPM)の血中濃度を測定した大腸菌菌血症の乳児例
【背景】MEPMは幅広い抗菌スペクトルを有するβラクタム系抗菌薬で、集中治療においてもよく使用される。十分な効果を発揮するためにはTime above MICを十分に長く保つ必要があるが、薬物動態は腎機能をはじめとする様々な因子に修飾され、特に血液浄化療法施行中の理想的な投与量、投与方法は不明である上に、その血中濃度測定は保険収載されておらず、商業的検査は行われていない。今回、CHDF施行中に大腸菌菌血症を発症した乳児例においてMEPMの血中濃度を測定した。薬物動態に関する考察を加えて報告する。【臨床経過】1か月、2.7kgの女児。嘔吐、体重増加不良にて前医を受診。急性肝不全と診断されCHDF、血漿交換が導入された。肝機能の改善なく肝移植の可能が考慮され、当院ICUに搬送された。当院で施行した検査で単純ヘルペスウイルス1型感染が明らかになり、当院ICU入室から44日目に多臓器不全の進行により死亡した。当ICU入室時の血液培養で大腸菌が陽性となりMEPMの投与を40mg/kg/回、1時間かけて、8時間毎の投与を開始したが、血液培養での大腸菌の検出が継続したため67mg/kg/回に増量の上、1回あたり3時間かけて投与を行ったのちに血液培養は陰性化した。残血清等を用いてMEPMの血中濃度を測定し、その値に基づき薬物動態解析を行ったところ、当初の投与量、投与方法では、推定したTime above MICが50%だったが、投与量、投与方法の変更後は90%に上昇していたことがわかった。【結論】持続血液濾過透析等で薬物動態が修飾される患者において、MEPMの投与量、投与方法を決定する上で、その血中濃度の測定は有用である可能性がある。