[O32-3] 急性非代償性心不全におけるフロセミドの間欠と持続投与の比較:メタ解析
【目的】重症患者における体液過剰は臓器障害と死亡率増加に関連する。利尿薬は体液過剰に対する治療法として重要である。ループ利尿薬の持続投与は、間欠投与に比して、理論的にはより効果的な利尿と電解質バランスに関連する。これを検討した過去の研究の多くが様々な対象で行われたクロスオーバー研究であるため、利尿薬の効果の持ち越し(carryover)と利尿薬耐性の影響を受けていた。患者指向のアウトカム(patient-oriented outcome)もあまり報告されていなかった。急性非代償性心不全(AHDF)におけるフロセミドの持続・間欠投与を比較した並行群間比較試験のメタ解析を行い、この問題をより厳密に再検討した。【方法】Medline、CENTRAL、EMBASEから並行群間ランダム化比較試験(RCT)を検索した。主アウトカムは死亡率、入院期間と体重減少とした。ランダム効果モデルを用いてデータを統合した。【結果】923名の患者を対象とした12件の並行群間RCTを対象とした。間欠投与と比較して、フロセミドの持続投与は 死亡率の改善には関連しなかったが(リスク比1.19; 95%信頼区間[CI]0.65-2.16)、入院期間を短縮する傾向にあり(加重平均差[WMD]-0.88日; 95% CI -2.76-1.01)、体重をより減少させた(WMD 0.63kg; 95% CI 0.23-1.02)。【結論】ADHF患者を対象とする並行群間RCTのみで行った初のメタ分析である。間欠投与に比して、フロセミド持続投与はより有効な体重減少と入院期間の減少傾向に関連する。