第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

中枢神経

[O58] 一般演題・口演58
中枢神経01

Fri. Mar 1, 2019 3:40 PM - 4:30 PM 第13会場 (国立京都国際会館1F Room F)

座長:森本 裕二(北海道大学病院麻酔科)

[O58-4] 重症筋無力症クリーゼの治療中に再挿管となった一例

竹内 智紀1, 佐藤 幸世2, 柳平 貢3, 北川 翔大1, 犬飼 慎2,4, 塩田 修玄2, 若林 健二2, 長島 道生2, 高橋 英夫2, 重光 秀信2 (1.東京医科歯科大学 医学部 附属病院 総合教育研修センター, 2.東京医科歯科大学 医学部 附属病院 集中治療部, 3.東京医科歯科大学 医学部 附属病院 神経内科, 4.東京医科歯科大学 医学部 附属病院 麻酔科)

【背景】重症筋無力症(Myasthenia Gravis; MG)クリーゼは主に咽頭筋, 呼吸筋に高度の筋力低下が急速に生じる病態であり, しばしば気管挿管による迅速な人工呼吸管理が必要となる. MGクリーゼの抜管失敗率は27-44%とする報告があり, 集中治療における一般的な抜管失敗率よりも高いと考えられている. また, MGクリーゼにおいて無気肺や肺炎といった肺合併症が抜管失敗のリスクとなることが報告されている. 今回MGクリーゼの治療中に再挿管となり抜管指標の評価に苦慮した一例を経験したので報告する. 【臨床経過】生来健康な61歳男性. 来院2ヶ月前より四肢筋力低下が出現した. 次第に易疲労感, 左眼瞼下垂, 嚥下困難, 構音障害もみられるようになった. 2018年X月23日呼吸困難を主訴に近医へ緊急搬送され, 精査加療のためX月27日(第1病日)に当院へ転院となった. 神経内科の精査で反復刺激試験・テンシロンテスト・抗アセチルコリン受容体抗体が陽性となりMGと診断した. 第4病日に呼吸困難が出現し, SpO2 80%前後に呼吸状態が悪化したため, MGクリーゼが疑われ集中治療室へ入室となった. 入室時の動脈血ガス分析では, pH 7.354, pO2 163 Torr, pCO2 52.5 Torr (O2 3L投与下)と急性2型呼吸不全を呈していたため, 気管挿管の上, 人工呼吸器管理を開始した. 第5 病日より5日間の免疫グロブリン静注療法を行った. 経過中に肺炎・無気肺を合併し抗菌薬で加療した後, 呼吸状態が良好であることから第17病日に抜管した. しかし, 第21病日にpH 7.177, pO2 64.3 Torr, CO2 86.4 Torr (O2 4L投与下)の高CO2血症による呼吸性アシドーシスおよび意識障害を認めたため, 再度気管挿管を行い人工呼吸器管理となった. 【結論】本症例では, 抜管前の酸素化・換気は問題なく, 自発呼吸トライアル(Spontaneous breathing trial; SBT)やリークテスト, 気道反射など一般的な抜管基準を満たしていることを確認したが, 再挿管に至り長期間の人工呼吸器管理を要した. 過去の文献にはMGクリーゼの人工呼吸管理では無気肺や肺炎が抜管失敗と関連していたとの報告があり, 本症例でも肺合併症が関与していた可能性がある. MGクリーゼにおける抜管評価の際には, 呼吸筋の筋力低下や球麻痺症状の評価と共に, 肺合併症への留意が肝要であると考えられる.