第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

検査法・モニタリング

[O63] 一般演題・口演63
検査法・モニタリング03

2019年3月1日(金) 16:30 〜 17:20 第14会場 (国立京都国際会館1F Room G)

座長:野村 岳志(東京女子医科大学集中治療科)

[O63-5] ICU患者におけるAuto-IVCの有用性

津田 雅庸, 大石 大, 阿曽 広昂, 丸地 佑樹, 後長 孝佳, 加藤 祐将, 寺島 嗣明, 森 久剛, 梶田 裕加, 武山 直志 (愛知医科大学 医学部 救命救急科)

【背景】集中治療を必要とする患者では適切な循環管理が非常に重要である。近年動脈カテーテルの波形から輸液反応性をStroke Volume Variation (SVV)として評価できるFloTracTM sensorやPiCCOTMシステムなどが用いられている。しかしこれらは専用のモニターなどを必要とし、侵襲的な動脈圧等の高価な持続モニターを挿入する必要性がある。より簡便な指標として呼吸による下大静脈経の動的変動が輸液反応性の指標として有用であると報告されている (Feissel M, et al., Intensive Care Med. 2004; 30:1834) 。【目的】下大静脈の呼吸性変動を自動計測し変動率を算出するGE Healthcare社のAutomated IVC機能を持ったエコーを使用し、SVVとの関連性の評価を行い、従来の指標との比較を行い臨床での評価が可能かどうかの検討を行った。【方法】使用した機種はGE社のVenueTMで、対象患者は当院のEICUに入室し、調節呼吸管理下で、FloTracTM sensorの使用が可能であった患者で行った。測定は同一医師が、SVV値を伏せた状態で行った。重度の心不全、心房細動などの不整脈のある患者は除外し、イレウスや術後でエコーの描出不良などでCollapsibility Index (CI)が計測できなかった3例は除外した。【結果】計測可能であった患者は男性20名、女性10名で平均年齢は77.0 ± 1.3 (SE) 歳。SVV値は11.9 ± 1.5 (SE) %であり、Automated IVCでのCIは15.2 ± 1.3 (SE) %となった。両群間の比較でR squareは0.604 (p<0.001) となり両群間には相関が認められた。SVVで10%以上を輸液反応性ありとしてCI値をROC曲線で比較したところ、AUCは0.676、CIのカットオフ値を10.5%以上でSensitivity 93.3%、Specificity 60.0%となった。また今回の解析からは除外したが心房細動のある患者ではSVVは高値を示していたがCIは10.5未満であった。【結論】SVVを使用した輸液反応性の指標と比較しAutomated IVCでもとめたCIでも大きな乖離はなく使用可能であることが判明した。今回の検討ではCIが10.5%以上で輸液反応性ありとの結果となった。心房細動時においても呼吸による下大静脈径の変動は、輸液反応性の指標として信頼できると報告 (Airapetian N, et al., Crit Care. 2015;19:400) されており、SVVの弱点を補える可能性を有している。これらをふまえエコーでの輸液反応性の検査は簡便で非侵襲的なため集中治療領域において有用であると考えられる。