第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

呼吸 症例

[O7] 一般演題・口演7
呼吸 症例01

2019年3月1日(金) 09:00 〜 10:00 第7会場 (国立京都国際会館1F Room E)

座長:森山 潔(杏林大学病院麻酔科)

[O7-6] 強酸性温泉水の誤嚥による急性呼吸窮迫症候群の一救命例

鈴木 健人1, 宮村 保吉1, 工藤 俊介1,3, 後藤 真也2, 田中 啓司1, 渡部 修1, 武居 哲洋1,3, 岡田 邦彦1 (1.佐久総合病院佐久医療センター 救命救急センター, 2.佐久総合病院佐久医療センター 麻酔科, 3.横浜市立みなと赤十字病院 救命救急センター)

【背景】強酸性温泉水の誤嚥による急性呼吸窮迫症候群の救命例は少ない。
【臨床経過】75歳男性。草津温泉の源泉(pH 約1.6)を引いている温泉施設で、浴槽内に顔面が浸かった状態で浮いているところを発見され近隣病院に救急搬送された。前医到着時、JCS 300の意識障害とジャクソンリース換気でSpO2 90%であり、経口気管挿管後に当院転院搬送となった。当院到着時、挿管チューブから断続的に赤褐色の泡沫状痰を吹き上げており、P/F 100未満の低酸素血症、ショック、JCS 300の意識障害を呈していた。胸部CT検査では全肺野に広がる気管支を中心とした浸潤影と両側背側の無気肺を認め、温泉水による誤嚥性肺炎、急性呼吸窮迫症候群と診断した。PEEPを20cmH2Oに設定した人工呼吸と左右交互の側臥位管理を行い、また抗菌薬もSBT/ABPCとLVFXを投与した。P/Fは200まで改善したため、第8病日に抜管しNasal High Flowに変更した。第13病日に低流量酸素投与で呼吸管理が可能となったため、第17病日に自宅近くの急性期病院に転院した。その後、第90病日に療養型病院に転院となったが、その際もO2 1L/分の投与を要する状態であり、胸部CT検査では広範な粒状影とすりガラス影、気管支牽引像を認め、肺容量は縮小していた。
【結語】強酸性温泉水の誤嚥により重症の急性呼吸窮迫症候群を発症したが、high PEEPと側臥位による肺保護戦略で後遺症を残したものの救命しえた一例を経験した。