[O73-4] 経腸栄養中にCTにて腸管虚血を認めた重症患者の検討
【背景】重症患者,特に循環動態不安定な患者への経腸栄養(EN)は腸管虚血のリスクを伴う。カテコラミン使用などがリスクとされているが,その状況においても安全に施行できるという報告もあり,いまだ議論が続いている。【目的】腸管虚血をきたした重症患者の特徴を調査する。【方法】期間:2016年1月-2018年6月対象:当院救命センター入院後,挿管・EN施行中に撮影されたCT検査において,腸管虚血(造影不良,壁在気腫,門脈気腫)を示唆する所見を認めたものを抽出。検討項目:入院時年齢・性別・BMI・SOFA・APACHEII score,EN開始までの時間・開始時のカテコラミンインデックス(CAI),発症時vital sign・乳酸値・入院からの日数・EN投与量・症状・発症時CAI,在院死亡。値は中央値(最小値-最大値)とした。【結果】対象は8例であった。発症時平均動脈圧は74.5mmHg(54.3-100.7),乳酸値は12.5mg/dl(5.4-18.3)であった。使用されていたカテコラミンはDOBでありCAIは0(0-9)であった。在院死亡は2例あり,腸管虚血が原因と思われるものは1例であった。EN開始時のCAIは0(0-5)で,入院から48時間以内のEN開始は5例であった。うち3例は1週間以内に虚血所見を認めたが,手術を要するものはなかった。【考察・結論】当院ではプロトコールを用いて積極的に早期よりENを行っている。本検討ではEN開始時,CT所見を得られた時点のいずれもCAIは低いことから腸管虚血が循環不全に起因していたとは言えず,安定していても腸管虚血は生じうることが示唆された。また,今回CT所見から腸管虚血患者を抽出したが,無症状で偶発的に発見された症例もあった。過去の報告では腸間虚血の診断のmodalityとしてCTが用いられる報告が見られるが,CTのみで臨床上意味のある腸管虚血の診断は困難と考えられ,文献の解釈にも注意を要するものと考えられた。