第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

精神・心理

[P100] 一般演題・ポスター100
精神・心理

Sun. Mar 3, 2019 11:00 AM - 12:00 PM ポスター会場18 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:七戸 康夫(独立行政法人国立病院機構 北海道医療センター救命救急センター 救急科)

[P100-4] てんかん重積発作と当初考えられたが持続脳波モニタリングにより心因性非てんかん性発作と診断しえた1症例

千葉 玲哉, 小尾口 邦彦, 福井 道彦, 藤野 光洋, 大手 裕之, 川合 喬之, 福田 将哲, 松本 悠吾 (大津市民病院 救急診療科・集中治療部)

【背景】心因性非てんかん性発作(Psychogenic Non-Epileptic Seizure : PNES)は,てんかんと鑑別を要する疾患として重要である.てんかん専門施設受診患者の1~2割を占めるとされるが,その頻度の高さに対して認知度は低く,てんかん発作との鑑別にしばしば難渋する.今回,持続脳波モニタリングによりPNESと診断した症例を経験したため報告する.
【臨床経過】46歳,女性.20代の頃にストレスを契機とした過換気症候群で病院の受診歴を認めていた.X-2年、上肢のみの局所性間代性痙攣様症状を認め,当院救急外来を受診したが,発作中も意思疎通が可能であったため,過換気症候群として帰宅経過観察となった.その後自宅で数回の痙攣様症状を認めていただが,短時間で改善するため,病院受診はされなかった.X年5月,全身性間代性痙攣を発症し当院救急搬送となった.20分程度持続したが救急搬送中に自然軽快した.当院搬送時は意識レベルGCS E3V5M6であったが,当院到着後再び全身性間代性痙攣を繰り返し発症しジアゼパム,フェニトインではコントロールがつかなかった.難治てんかん重積発作と診断され,挿管による気道確保の上,プロポフォール持続静注され痙攣様症状の停止が得られた.当院ICU入院後,てんかん発作の原因となる疾患を除外した後に,持続脳波モニタリングを施行した.挿管・人工呼吸管理下プロポフォールによる鎮静中にも全身性間代性痙攣様症状を認めたが,異常脳波を認めなかったこと, 以前にもストレスがかかると局所性間代性痙攣様症状を呈していた既往があったことからPNESと診断した.てんかん治療薬として使用したレベチラセタムは漸減中止し,精神科医による診察の後に,抗不安薬であるアルプラゾラムが開始され退院した.
【結論】難治性てんかん重積発作に対して速やかに全身麻酔療法を導入し,脳波をモニターすることが推奨される.本症例は受診時には精神運動発作関連の情報はなく,難治性てんかん重積発作による不可逆な脳ダメージを防ぐために難治性てんかん重積発作を疑った段階で全身麻酔療法に踏み切った. 持続脳波モニタリングが,難治性てんかん重積発作のコントロールとしても重要であるだけでなく、PNESとの鑑別においても有用であった1症例を経験した.