[P11-5] 抜管の判断に関する、SAT・SBTプロトコルの個別項目についての検討
【背景】SAT・SBTプロトコル(以下SAT・SBT)は、人工呼吸患者において呼吸器を離脱できるかどうかを多職種にて検討する際に有用である。当院ICUでは、SAT・SBT成功基準に不適合と判定された場合、抜管を適応外とする選択、再挿管を前提とした積極的な抜管の実施のいずれを選択するか、担当医の判断に委ねられる。SAT・SBTの判定結果が、呼吸器離脱に向けての診療、ICUケアと患者アウトカムにどのように反映されているか、当院でも検証が求められている。【目的】SAT・SBTプロトコルの個別項目のうち、抜管の可否判断に影響する因子が何か検討する。【方法】2016年4月から2018年3月までの2年間に当院ICUで48時間以上挿管管理された成人98例について、患者背景、抜管の可否判断に至るまでのSAT・SBT結果とその後の経過を後ろ向きに検討した。抜管を適応せず気管切開を経て呼吸器離脱を目指した群(気管切開選択群、19例)と抜管を試みた群(抜管選択群、79例)に分け、患者背景(APACHE2スコア、主病名、気管挿管日数など)、SAT・SBT結果について、統計学的解析(SPSS 22、IBM)を行った。【結果】挿管期間7日以上、SATおよびSBTの異常が、気管切開選択群において多い傾向にあった。抜管の可否判断に関する因子群についてロジスティック回帰分析を行ったところ、SAT結果の諸項目(RASS値異常、興奮状態、不整脈)が、強い影響を与えたことが示唆された。抜管選択群における再挿管率は12.7%であったが、呼吸器離脱率および死亡率について、両群に有意差は認められなかった。【結論】長期挿管患者の呼吸器離脱に関して、SAT・SBTの判定結果、特にSATに関連した項目が抜管の可否に影響を与えた可能性がある。