[P5-3] 多施設DPCデータによる敗血症性DICにおけるrhTMとAT製剤の退院時転帰に関する検討
【背景]DICにおいてAT製剤やリコンビナントトロンボモジュリン(rhTM)は利用される薬剤に挙げられるが, 本邦における大規模データベースを用いた退院時転帰に関する報告はほとんど行われていない. 【目的】敗血症性DIC症例においてAT製剤やrhTM使用と退院時転帰の関係を検討することを目的とする. 【方法】 今回、DPCデータ調査研究班のデータベースを用いて検討を行った。対象期間は2010年2月から2016年3月の7年間とした (各施設7年間のうちどの期間参加しているかは明らかではない)。集中治療室に入室した20歳以上の人工呼吸管理を必要とした敗血症性DIC症例を対象とした. 主要アウトカムを院内死亡率とした. 【結果】対象症例は597施設, 3039例であり, rhTM単独 (rhTM) 1017例, AT製剤単独 (AT) 817例, rhTMとAT製剤併用 (rhTM+AT) 1205例であった. 院内死亡率はrhTM, AT, rhTM+ATでそれぞれ55.2 %, 53.2 %, 54.8 % (p=0.65) であった. 多重ロジスティック回帰分析の結果ではATを基準としてrhTM, rhTM+ATは院内死亡に対して有意な因子にはならなかった (オッズ比1.12, 95%信頼区間:0.91ー1.37; p=0.29, オッズ比0.96, 95%信頼区間:0.80ー1.16; p=0.67). ただし, 解析症例においてAT使用は院内死亡率が低い傾向にあった (Log-Rank検定: rhTM vs AT p=0.01, rhTM vs rhTM+AT p<0.01).【結語】敗血症性DICにおいてAT製剤使用に対してrTMや両者併用は退院時転帰に対し有意な影響をみとめなかった. ただし, DICそのものの評価が困難であったため, 今後, さらに研究を進める必要がある.