第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

感染・敗血症 研究

[P5] 一般演題・ポスター5
感染・敗血症 研究01

Fri. Mar 1, 2019 11:00 AM - 11:50 AM ポスター会場5 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:山下 千鶴(藤田医科大学医学部 麻酔・侵襲制御医学講座)

[P5-3] 多施設DPCデータによる敗血症性DICにおけるrhTMとAT製剤の退院時転帰に関する検討

梅垣 岳志1, 國澤 進2, 穴田 夏樹1, 安藤 亜希子1, 奥 佳菜子1, 楠 宗矩1, 正司 智洋1, 角 千里1, 上林 卓彦1, 今中 雄一2 (1.関西医科大学 麻酔科学講座, 2.京都大学大学院 医学研究科 医療経済学分野)

【背景]DICにおいてAT製剤やリコンビナントトロンボモジュリン(rhTM)は利用される薬剤に挙げられるが, 本邦における大規模データベースを用いた退院時転帰に関する報告はほとんど行われていない. 【目的】敗血症性DIC症例においてAT製剤やrhTM使用と退院時転帰の関係を検討することを目的とする. 【方法】 今回、DPCデータ調査研究班のデータベースを用いて検討を行った。対象期間は2010年2月から2016年3月の7年間とした (各施設7年間のうちどの期間参加しているかは明らかではない)。集中治療室に入室した20歳以上の人工呼吸管理を必要とした敗血症性DIC症例を対象とした. 主要アウトカムを院内死亡率とした. 【結果】対象症例は597施設, 3039例であり, rhTM単独 (rhTM) 1017例, AT製剤単独 (AT) 817例, rhTMとAT製剤併用 (rhTM+AT) 1205例であった. 院内死亡率はrhTM, AT, rhTM+ATでそれぞれ55.2 %, 53.2 %, 54.8 % (p=0.65) であった. 多重ロジスティック回帰分析の結果ではATを基準としてrhTM, rhTM+ATは院内死亡に対して有意な因子にはならなかった (オッズ比1.12, 95%信頼区間:0.91ー1.37; p=0.29, オッズ比0.96, 95%信頼区間:0.80ー1.16; p=0.67). ただし, 解析症例においてAT使用は院内死亡率が低い傾向にあった (Log-Rank検定: rhTM vs AT p=0.01, rhTM vs rhTM+AT p<0.01).【結語】敗血症性DICにおいてAT製剤使用に対してrTMや両者併用は退院時転帰に対し有意な影響をみとめなかった. ただし, DICそのものの評価が困難であったため, 今後, さらに研究を進める必要がある.