第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(ポスター発表)

リハビリテーション 研究

[P66] 一般演題・ポスター66
リハビリテーション 研究02

2019年3月2日(土) 14:00 〜 14:50 ポスター会場4 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:對東 俊介(広島大学病院)

[P66-3] 救急ICUに入院しリハビリテーションを実施した敗血症患者の入院時GNRIからみた退院時ADLの検討

沖 圭祐, 川田 稔 (大原記念倉敷中央医療機構 倉敷中央病院 リハビリテーション部)

【目的】
敗血症は長期生存が不良な非常に重篤な病態であり,重症例ではPICSやICU-AWなどの併発から生存後も長期にわたるリハビリテーションが必要とされている.さらに高齢化が進む本邦において70歳以上在宅高齢者の3割が虚弱であったと報告され,高齢化によるサルコペニアやFrail,入院前低活動低下も入院後のADL低下の要因といわれている.ICU-AW,サルコペニアやFrailは,低栄養患者に多く認め,最近では,リハ栄養の普及やNST活動等,様々な場面において栄養評価が治療やADL,生命予後の指標として用いられている. 栄養状態の評価としてGNRIがあり,先行研究では,市中肺炎患者の入院時栄養状態良好群(92≦GNRI),栄養状態不良群(GNRI<91)において,退院時Barthel Indexに有意差を認めたと報告されている.また低栄養は心大血管術後のリハの進行の遅延,心不全患者の退院時ADL低下に影響を与えており,入院中の栄養状態とADLには何らかの関連が示唆される.しかし,入院時栄養状態によるADLの検討は多種の疾患でも実施されているが,敗血症で入院した患者の検討は少なく,今回栄養状態とリハ進行状況と退院時ADLを検討することとした.
【方法】
2015年1月~2018年1月に救急ICUに敗血症の診断で入院しPTを施行した162例を対象とし,入院前ADL介助例,入院中死亡例,データ欠損例は除外とした.入院時GNRI値を栄養状態不良群(GNRI<91)133例,栄養状態良好群(91≦GNRI)29例の2群に分類し比較検討を行った.検討項目は,背景要因として年齢,性別,BMI,入院前ADL,せん妄発症率,SOFA,人工呼吸器装着率・装着日数,入院・退院時血清Alb値,MaxCRP値,MaxWBC,PT開始時MRC,終了時MRC,握力,歩行速度,最大下肢筋力比を調査した.リハ進行状況として,入院からPT開始日数,端座位~歩行の開始日数・実施率,歩行自立日数・自立率,初回端座位保持の可否,救急ICU在室日数,開始FIM(運動)・(認知),自宅復帰率を調査した.
【成績】
リハ進行状況として入院から歩行自立までの日数に有意差を認めた(P<0.05)が,退院時FIMにおいて有意差を認めなかった.背景要因からはEICU入室期間,人工呼吸器装着期間,開始時Alb値,SMRC,BMI,開始時FIM(認知),握力において有意差を認めた(P<0.05).
【結論】
敗血症患者における入院時GNRI値はリハ進行状況と退院時のADLと関連は少ないが,筋力低下に生じ,予備力低下と関連することが示唆された.入院時の栄養のみだけでなく,入院中の栄養管理からの影響分析も必要である.