第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

呼吸 症例

[P70] 一般演題・ポスター70
呼吸 症例05

Sat. Mar 2, 2019 2:00 PM - 2:50 PM ポスター会場8 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:松田 憲昌(小倉記念病院 麻酔科・集中治療部)

[P70-4] 気管ステントと気管切開術を要した神経線維腫症1型

荒川 立郎, 自見 孝一朗, 森田 恭成, 近藤 貴士郎, 安藤 諭, 鈴木 秀一, 関 幸雄 (名古屋医療センター 救命救急センター)

【背景】神経線維腫症1型は、常染色体優性の遺伝子異常に伴いカフェ・オ・レ斑や神経線維腫を生じる。神経線維腫は全身の皮膚に多く発生し、頚部や縦隔内の発生はそれほど多くない。今回の症例は右頚部から後縦隔にかけて神経線維腫を認め、気道狭窄を生じたため治療介入が必要となった症例である。【臨床経過】症例は44歳男性、以前から神経線維腫症1型と診断されており、数か月前から徐々に進行する呼吸困難感で前医受診された。気道狭窄のため通常の全身麻酔が困難であり、気道確保目的に気管ステント留置が検討され、当院へ紹介となった。入院後、全身麻酔下にIステントを留置し、経過良好であったため一旦退院となったが、数日後に再度呼吸困難感が出現し、緊急入院、気管挿管となった。再入院時の画像検査でIステント遠位側辺縁に腫瘍による気道の狭窄所見を認めため、気管挿管下でIステントを抜去、同部位にYステントを留置し、術後は気道管理目的にICU入室となった。術翌日、抜管を試みたが、頚部腫瘍による気管圧迫やステント留置に伴う分泌物過多が原因と思われる上気道狭窄症状が著しく再挿管となった。その後も喀痰排泄促進薬や利尿薬等を使用したが、分泌物のコントロール困難持続し早期の抜管は困難との判断し、気管切開術を施行した。気管切開時、気管ステント内に気管切開チューブ先端が収まるように留置し、翌日まで呼吸状態の増悪がないことを確認した後、ICU退出となった。その後も徐々に浮腫や分泌物過多は改善を認め、腫瘍による気道の圧排症状の再発も認めず神経線維腫摘出目的で前医転院となった。【考察】神経線維腫は、縦隔の発生頻度が少なく、縦隔内で発生する場合で多いのは後縦隔であり、気管・気管支の圧排は比較的稀である。本症例のように頚部から後縦隔に発生した腫瘍による気道狭窄症状に対しては、侵襲の低いステント留置術で気道確保をすることが有効な手段であった。また、今回の症例では種々の要因から気管切開術も追加で必要となった。