[P74-2] Webベースの多施設遠隔勉強会立ち上げの試み
【背景】集中治療専門医を目指す医師に対する各種の教育的カンファレンスは、施設単位あるいは学会や研究会単位の対面で行われることが多い。しかし1)診療その他の事情により、学会や研究会だけでなく自施設カンファレンスですら充分に参加できない、2)準備されたプレゼンテーションの共有範囲が参加者に限定され、純粋に“勿体無い”、3)プレゼンテーションやディスカッションが、施設文化やエキスパートの見解に左右され客観的な外部評価を得にくい、4)忙しい診療の中、準備に必要な労力・時間負担が大きい、5)これらの欠点を克服すべく、自施設勉強会スライドのWeb公開など様々な取り組みが行われているが、自ら意識してスライドを閲覧するには相当の自助努力を要し、プレゼンテーションなしの“独り”スライド閲覧の限界も無視できない。総じて効率的な集中治療専門医の育成にはまだ改善の余地があると言える。そこで我々は、多施設が毎月決まった時間に自施設カンファレンス室に集まり、持ち回りでプレゼンテーションを担当してWebベースでカンファレンスを行うMulticenter Educational for Resident in InTensive care (MERIT)を立ち上げた。【方法】今後のMERITの改善に繋げるために、その具体的内容を紹介し、その利点と問題点を共有し、提案をいただきたいと考えた。【結果】2017年12月から現在までに16施設が参加し、毎月第1週木曜日の12時30分から13時30分に開催された。内容は、エキスパートによる包括的レクチャー、論文の批判的吟味,病態や治療に関する最新レビュー、診断・管理に難渋した症例経験の共有や方針の相談、死亡・合併症(M&M)カンファレンスなど多岐に渡り、個々の施設だけでは得られなかった新鮮な考え方や指摘に曝され「勉強になった」「目から鱗が落ちた」という声を聞いた。【考察】事前に当該時間帯を設定し、それに合わせてルーチーンのスケジュールさえ修正すれば、施設ごとの準備は最小限で済み、継続は比較的容易である。問題点は、質の高いインターネット環境の確保、“それでも”参加できない医師への質の高いサポート、開催頻度、参加施設数、施設ごとのマンパワーとプレゼンテーション頻度の兼ね合い、などであろう。【結論】Web会議アプリケーションを用いた施設間交流と勉強会開催の有用性と問題点について紹介する。忌憚のないご意見を賜りたい。