第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

教育

[P75] 一般演題・ポスター75
教育02

Sat. Mar 2, 2019 2:00 PM - 2:40 PM ポスター会場13 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:白坂 雅子(日本赤十字社福岡赤十字病院ICU/CCU)

[P75-2] 救命救急センターでの気管挿管患者に対する口腔ケアの標準化による効果

保坂 熙, 小林 由佳, 山添 智予, 中丸 真, 尾石 早織, 齋藤 意子 (独立行政法人 国立病院機構 東京医療センター)

【背景】日本集中治療医学会・日本クリティカルケア看護学会が人工呼吸器関連肺炎予防のための気管挿管患者の口腔ケア実践ガイドを作成しており、口腔ケアの標準化が推奨されている。しかし、当院救命救急センターにおいては患者に提供している口腔ケアの内容に差がある現状であった。そこで、口腔ケア実践ガイドに基づき標準化を行い患者や看護師にどのような影響が出たのかを明らかにしたいと考え研究に取り組んだ。【目的】救命救急センターで気管挿管患者に対して口腔ケアの標準化を導入したことによる、患者への効果と看護師の行動の変化を明らかにする【方法】研究デザイン:非無作為化臨床試験対象者:救命救急センターに入室し気管挿管を実施した成人患者および救命救急センターに所属している看護スタッフ介入方法:対象となる看護スタッフが標準化された口腔ケア(ブラッシングケアと維持ケアをあわせて4-6回/日)を実施した。主要評価アウトカム:口腔ケアの標準化導入後3か月の気管挿管患者の、気管挿管日数、経口摂取開始までの日数、ICDSCスコア等を前年同時期の患者と比較した。導入前後に看護師に口腔ケアに関する質問紙調査を実施した。【結果】標準化口腔ケアを受けた患者は85名、対照となる前年同時期の患者は115名であった。口腔ケアの標準化の導入前後で入室日数や挿管日数などの、患者に関するすべての評価項目で、有意差はみられなかった。64歳以下のサブグループでは、有意差はないものの(以下研究結果:導入前平均日数・率/導入後平均日数・率、p値)、導入前後でICU入室日数(11.0日/8.2日、0.176)、気管挿管日数(7.2日/5.3日、0.137)、VAP発生率(16.7%/14.7%、1.00)、ICDSC(4.2/3.3、0.187)に改善がみられた。看護師への質問紙調査は、導入前49名、導入後25名が回答し、日勤、夜勤ともに導入前後で実施回数が増加し、口腔アセスメントスキルが向上していた。口腔ケアへの自信の程度や充足度は導入前後で変化はなかった。【結論】64歳以下の患者で、口腔ケア導入による効果がある傾向がみられたものの、全体では改善は見られなかった。標準化口腔ケアの不徹底が一因であると考えられ、看護師に対する啓発や業務改善を図っていく必要がある。看護師への影響に関しては、ケア回数や口腔アセスメントスキルに改善がみられた。今後は、口腔ケアの充足度や自信につながるよう努めていく。