第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

内分泌・代謝

[P76] 一般演題・ポスター76
内分泌・代謝01

Sat. Mar 2, 2019 2:00 PM - 3:00 PM ポスター会場14 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:小北 直宏(旭川医科大学病院 集中治療部)

[P76-3] 植込み型補助人工心臓術後にアミオダロン誘発性甲状腺中毒症により甲状腺クリーゼをきたした一例

平澤 憲祐1,2, 若林 健二1, 篠岡 太郎2, 水野 友裕3, 長島 道生1, 丸山 史1, 塩田 修玄1, 高橋 英夫1, 荒井 裕国3, 重光 秀信1 (1.東京医科歯科大学医学部附属病院 集中治療部, 2.東京医科歯科大学医学部附属病院 循環器内科, 3.東京医科歯科大学医学部附属病院 心臓血管外科)

【背景】アミオダロン誘発性甲状腺中毒症(AIT)はアミオダロンによる甲状腺合併症の一つであり、その診断や治療戦略に難渋することが多い。今回我々はAIT2型を合併した重症心不全患者に対して植込み型補助人工心臓(VAD)導入を行い甲状腺クリーゼを来した症例を経験したため報告する。【臨床経過】症例は26歳男性。7年前に拡張型心筋症と診断、以後他院でアミオダロンを含む心不全治療を行っていたが経時的に心機能低下を認め、VAD導入目的に当院に転院となった。入院時TSH 6.93μIU/ml, FT4 2.23ng/dlと高値を認めておりアミオダロンは中止となった。徐々に甲状腺ホルモン値上昇を認めヨード剤の内服で対応したが甲状腺機能亢進状態は継続した。術前の甲状腺機能はTSH 0.01μIU/ml, FT3 26.7pg/ml, FT4 7.77ng/mlと上昇を認めAIT2型と診断され、術前のステロイド投与や甲状腺全摘なども検討されたが原病の増悪により手術待機が困難と考えられたため植込み型VAD手術を施行した。術後臓器障害, 頻脈, 発熱が遷延し甲状腺クリーゼと診断され、ステロイド導入を行った。ステロイド導入後、甲状腺ホルモンは低下を認め、発熱、頻脈も改善傾向となった。ステロイドは漸減しVAD装着下に全身管理とリハビリテーションを行い、心臓移植を目指している。【結論】AIT2型の管理においてはステロイド投与や甲状腺全摘などさまざまな治療が提唱されている。本症例では植込み型VAD手術をステロイド投与に先行して施行したが、甲状腺クリーゼを来し治療に難渋した。ステロイドを含む治療導入のタイミングや使用法などに関しては慎重に検討する必要があると考えられた。