第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

検査法・モニタリング

[P82] 一般演題・ポスター82
検査法・モニタリング03

Sat. Mar 2, 2019 2:00 PM - 2:50 PM ポスター会場20 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:山本 良平(亀田総合病院)

[P82-2] 気管内経口挿管と唾液湿潤度が口内細菌数に及ぼす影響に関する研究

大槻 勇真1, 小玉 晴菜1, 高田 望2, 坂本 千尋1 (1.東北大学病院 看護部, 2.東北大学大学院医学系研究科)

背景平成30年度の診療報酬改定により対象患者の拡大が見直されるなか、口腔内の環境を管理する重要性が再認識されている。経口挿管にて集中治療室に入室する患者の場合、常に開口状態のため口腔内の水分が蒸散しやすく、経口摂取ができないことで唾液の分泌が促されず唾液湿潤度(以下湿潤度)が低下しやすくなる。経口挿管による湿潤度や口内細菌数(以下細菌数)がどの程度変化するかは明らかにされておらず、これらを調査することにより、挿管患者の口腔内アセスメントの一助となると考えた。目的経口挿管に伴う口腔内湿潤度と細菌数の変化を明らかにすること。方法本研究は横断研究デザインで実施した。対象はA病院ICUに入室する患者で、適格基準は (1)心臓血管外科で予定手術を受けたこと(2)術前に歯科を受診していること(3)経口挿管のままICUに入室予定であることであった。調査期間は2017年1月~6月だった。術前に研究概要を説明し、同意が得られた患者を対象とした。本研究は東北大学病院臨床研究倫理委員会の承諾を得て実施した。湿潤度および細菌数を、術前、挿管中、抜管後、抜管翌日に測定した。湿潤度は唾液湿潤度検査紙を舌上に10秒間静置し、検査紙に吸い上げられた量を長さ(mm)で測定した。細菌数はパナソニックヘルスケア社製細菌カウンタを使用して測定した。対象ごとに挿管日数が異なったため、分析には挿管前、抜管前日、抜管当日、抜管翌日の4ポイントのデータを使用した。対象ごとに湿潤度および細菌数をグラフ化し、全体の変化を可視化した。経口挿管が湿潤度および細菌数に及ぼす影響を明らかにするため、ポイントの湿潤度及び細菌数の多重比較を実施した。さらに、湿潤度と細菌数の関連を調べるため、全ての測定における湿潤度を細菌数の相関分析を実施した。全ての分析の有意水準は5%とし、分析にはJMS pro13を使用した。結果対象患者が19名であり男性が13名、平均年齢64.3歳、平均挿管日数2.4日だった。湿潤度では、挿管前と比べて抜管前日、抜管当日、抜管翌日が有意に低かった。細菌数は、挿管前と比べて挿管中が有意に増加し、抜管後に細菌数が減少するパターンが確認できた。湿潤度および細菌数の相関関係0.52(p<0.1)で中等度の負の相関を認めた。結論経口挿管により湿潤度が低下し、細菌数増加に影響を及ぼしている可能性が示唆された。