[P84-2] 一地方病院における高齢患者の人工呼吸器離脱における現状と課題
【緒言】高齢者の人工呼吸管理では離脱に難渋することがあり、人工呼吸器の適応の是非についても議論がある。当院には学会認定を受けた集中治療室がなく、人工呼吸器を要する患者の管理は各診療科の医師に任されているのが現状である。今回、当院における人工呼吸器離脱の現状を後方視的に調査した。【対象および方法】2017年度に、主に当院救命センター病棟で2日間以上挿管人工呼吸管理を要した高齢患者(65歳以上)を対象とした。年齢、性別、呼吸不全の原因疾患、基礎疾患、人工呼吸期間、人工呼吸器装着から理学療法開始までの期間、理学療法の開始・終了時のBarthel Index、SOFAスコア、血清アルブミン値、28日死亡率、6ヶ月死亡率を検討した。人工呼吸器からの離脱は人工呼吸器が不要となり自発呼吸のみで48時間以上安定した状態と定義し、気管切開の是非は問わないとした。【結果】対象患者は25名、人工呼吸期間は平均16.8日、人工呼吸器離脱率は72.0%であった。呼吸不全の原因はくも膜下出血や頸髄損傷による呼吸停止が36%、次いで肺炎が32%であった。理学療法開始までの期間は平均3.9日であった。人工呼吸器離脱群(W群、18例)と非離脱群(N群、7例)に分けて検討した結果、人工呼吸期間はW群で有位に短かった(10.4日:33.3日、p<0.05)。28日死亡率はN群で高い傾向がみられた(27.8%:71.4%)が、6ヶ月死亡率はともに高値であった(50.0%:71.4%)。年齢、Barthel Index 、SOFAスコア、血清アルブミン値は両群間で差はなかった。W群の50%が気管切開を受けた。【考察】人工呼吸期間は過去の集中治療室における報告と比較して長い結果であった。これは、72%の患者が人工呼吸器を離脱できても6ヶ月死亡率が高いことの一因と考えられた。人工呼吸期間が長い原因として、専従医がいないこと、weaningが一律化できていないこと、リハビリ介入の遅れが一因と考えられた。最近ではプロトコル化された人工呼吸器離脱や早期リハビリテーションが推奨されてきており、当院のような施設では特に検討すべきである。【結語】人工呼吸器離脱可能かの判断は年齢では一概に言えないため、予後改善のために人工呼吸器離脱の標準化を行う必要がある。