[SY18-3] 急性心不全における早期介入 -コンセプトとエビデンス-
【 同時通訳付き】
心不全パンデミックは医療だけでなく、社会・経済的に大きな問題となる可能性を孕んでいる。世界で有数の「超高齢化社会」である日本もその例外ではなく、今後心不全患者数が増加の一途を辿ることは確実である。すでに複雑になっている心不全診療の中でも、最もコストと労力を要し改善が望まれるのが急性期治療(急性心不全)であり、しかし一方で、急性心不全に対する治療選択肢、例えば利尿薬や血管拡張薬、強心薬、あるいは補助換気療法に補助循環装置の使用など、これら各国・各学会の臨床ガイドラインで推奨されている治療法はこの四半世紀でほとんど変わっていない。幾多の治療法に関する大規模ランダム化比較試験が行われるも、実際に臨床現場へ導入されたものは残念ながら(ここ10年では)皆無である。ただし、この四半世紀という長い年月の間に、我々は既存の治療のより効果的な活用法を見出しており、心不全においても「時間軸」を意識した早期介入によって最大限の治療効果を生み出そうとしている。
現在の本邦の急性心不全患者の長期予後(1年死亡率は20%前後)は海外と比較してやや良好とされているが(図参照)、現状のまま高齢化が続けば早々に予後は悪化に転ずることが予想される。心不全患者の全般的な予後を改善させるためには、抜本的な戦略が必要であり、その一つが前述の「時間軸」に基づいた治療戦略の導入であると考えられている。膨れあがる心不全医療費とのバランスを図りつつ、効果的かつ効率的な医療を達成するためには、個別の病態とリスクに応じて、早期介入の恩恵を受けやすい患者に優先的にアプローチしていく姿勢も同時に求められている。本講演では、急性心不全診療に「時間軸」を意識した治療が導入された経緯、そしてその重要性について述べたい。
現在の本邦の急性心不全患者の長期予後(1年死亡率は20%前後)は海外と比較してやや良好とされているが(図参照)、現状のまま高齢化が続けば早々に予後は悪化に転ずることが予想される。心不全患者の全般的な予後を改善させるためには、抜本的な戦略が必要であり、その一つが前述の「時間軸」に基づいた治療戦略の導入であると考えられている。膨れあがる心不全医療費とのバランスを図りつつ、効果的かつ効率的な医療を達成するためには、個別の病態とリスクに応じて、早期介入の恩恵を受けやすい患者に優先的にアプローチしていく姿勢も同時に求められている。本講演では、急性心不全診療に「時間軸」を意識した治療が導入された経緯、そしてその重要性について述べたい。