[SY21-3] ECPR導入後の体温管理療法における指摘温度を探る ~ Hypothermia? or Normothermia? ~
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・背景:心停止後蘇生症例に対する体温管理療法が推奨されている。だが、低体温管理と平温管理の比較試験の結論に関しては未だ定まった見解は無い。また、それらの試験の多くは心停止蘇生後症例を対象としたものであり、extracorporeal cardiopulmonary resuscitation(ECPR)導入後の体温管理療法について言及された報告は確認できていない。・目的:当院におけるECPR導入症例の神経学的転帰を評価し、体温管理療法における至適温度を検討した。・方法:2012年1月から2018年8月までに当院で経験したECPR導入症例のうち、初療室での死亡、大動脈・頭蓋内疾患、偶発性低体温、体温管理導入前に意識状態の改善、低体温管理から平温管理へ移行した症例群を除外し、低温管理群(33℃:H群)、平温管理群(36℃:N群)に分類し、生存率、神経学的予後の比較検討を行った。当院は低温管理を原則とし、24時間維持後に復温としている。出血や感染症、低心機能症例等では平温管理を選択している。神経学的転帰はClinical Performance Category(CPC)を用いて転帰良好(CPC:1-2)、転帰不良(CPC:3-5)に分類し、退院時の評価を行った。・結果:対象期間中のECPR導入症例は128例、うち90例が解析対象となり、H群:64例、N群:26例であった。年齢はH群:64歳(IQR:56-69) vs N群:68歳(58-76)(P:0.32)、虚脱からECMO導入まではH群:40分(35-48) vs N群:45分(32-53) (P:0.26)であり、患者背景に有意差は認めなかった。生存率はH群:33例(52%) vs N群:15例(58%)(P:0.64)であり、神経学的転帰良好はH群:20例(31%) vs N群:13例(50%)(P:0.14)と共に有意差を認めなかった。・結論:ECPR導入症例に対する体温管理療法において、低体温療法と平温療法では神経学的転帰に有意差はなかった。出血や循環動態の変動を考慮すると、ECPR導入症例においても平温療法は選択肢になり得ると考える。