第46回日本集中治療医学会学術集会

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ワークショップ

[WS1] ワークショップ1
集中治療室における感染管理の工夫

Sat. Mar 2, 2019 2:00 PM - 4:00 PM 第8会場 (国立京都国際会館2F Room B-1)

座長:土手 健太郎(愛媛大学医学部附属病院集中治療部), 松田 直之(名古屋大学大学院医学系研究科救急・集中治療医学分野)

[WS1-4] 明確なアウトカム指標と課題解決型多職種回診による感染管理-クリーンな救命救急センターICUを目指して-

竹重 加奈子1, 川上 真穂1, 岡田 まゆみ1, 望月 勝徳1, 嘉嶋 勇一郎1, 高山 浩史1, 戸部 理絵1, 橋本 麻衣子2, 松本 剛2, 今村 浩1 (1.信州大学医学部附属病院 高度救命救急センター, 2.信州大学医学部附属病院 感染制御室)

ライブ配信】

【背景】救命救急センターICUは、重症感染症を含む多種多様な患者が入室し、耐性菌保菌者であるか不明な場合も多い。緊急の救命処置時であっても感染管理をおろそかにすることはできない。多くの診療科医師や職種が関わる部門であり、感染管理はすぐに目に見える効果が出るとは言い難いため、動機付けの維持・継続も課題である。【概要】2016年度に当院救命救急センターICUでは「MRSA水平感染の根絶」をアウトカム指標に設定し、PCR-based ORF typing(POT法)による伝播経路の検討や環境整備、手指衛生訓練などに取り組み、MRSA水平感染発生は8例/年から1例/年に減少した。2017年度以降、水平感染は0例/年で推移しているが、プロセス指標に用いた手指衛生回数は低下傾向にある。今回、2018年度から課題解決型多職種回診を導入するのに伴い、この回診をさらなる感染管理のストラクチャーとして取り入れた。回診のうち、週1回を感染管理に重点をおくこととし、アウトカム指標とプロセス指標の再設定を行った。救命救急センターICU全体のシステムに連動して取り組む感染管理について報告する。【方法】1.アウトカム指標に尿道留置カテーテル関連尿路感染症の発生率を設定2.プロセス指標として尿道留置カテーテルの留置期間、手指衛生回数、チェック項目改善率を設定3.数ヶ月単位のテーマ設定4.感染管理重点日には、テーマに沿ったチェック項目により各患者を評価5.回診でのチェック結果からコアメンバーが救命救急センターの施設、システムなどにおける課題を抽出し解決策を提案6.カンファレンスと救急科専門医資格を持つICD参加によるantimicrobial stewardship7.コアメンバーによるデータベース入力【結果】課題抽出により環境整備や既存マニュアルの変更が実施された。プロセス指標である尿道留置カテーテルの留置期間の減少と数ヶ月単位のテーマ毎に使用したチェック項目の改善を認めた。そしてアウトカム指標である尿道留置カテーテル関連尿路感染症の発生率および留置期間の減少を認めた。これらの活動に付随して、多職種回診では、コアメンバー以外でも感染管理への発言が増加し、中心静脈カテーテルだけではなく末梢静脈や動脈カテーテルの留置期間も減少傾向にある。【考察】明確なアウトカム指標に基づく感染管理を課題解決型多職種回診と連動させることにより、救命救急センターICUにおいて効果的な感染管理の継続をできることが示唆された。