第95回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

滅菌

滅菌3

[76] 院内でのエチレンオキサイドガス(EOG)滅菌廃止のための取り組み

村越 智1,2, 深柄 和彦1,2, 齋藤 祐平1, 室屋 充明1, 上寺 祐之1 (1.東京大学医学部附属病院 手術部, 2.東京大学医学部附属病院 材料管理部)

【序文】
エチレンオキサイドガス(EOG)滅菌は高温・高圧に耐えることができない器材の滅菌方法として現在も広くおこなわれている.しかしEOGは人体に極めて危険な毒物であり,その取扱いは容易ではない.そのためEOG滅菌の安全を担保するために「特定化学物質障害予防規則(特化則)」を遵守することが求められている.ところが,特化則を完全に遵守できたとしても,突発的な機器・ガス配管のトラブルやヒューマンエラーなどによるEOG滅菌担当職員へのEOG暴露の懸念は残っている.今回,我々は1病院の滅菌担当部門でのEOGを扱うことは医療安全上リスクが大きいと考えEOG滅菌廃止に取り組んだので報告する.
【方法と結果】
EOG滅菌を院内滅菌から院外への委託滅菌へと移行するためには経済的課題と器材の運用的課題を解決する必要があった.1.経済的課題(費用):院内でEOG滅菌をおこなう場合はEOG滅菌器・EOG除外装置の保守契約費,EOG購入費,部内環境測定費用などがかかる.院外での委託滅菌にした場合には委託器材量に応じた滅菌費用,病院と委託先事業所のあいだの運送料がかかる.院外委託滅菌にした場合の費用が,院内で滅菌した際の費用を超えないように調整をした.2.運用的課題(時間):院内EOG滅菌に比べ,院外委託EOG滅菌にした場合に器材を使用する部署への払い出しのおくれがほとんど発生しない運用となるように委託業者と折衝した.この問題の解決には当院が委託業者施設の近傍に位置しているという地理的要因が大きかった.
【結語】
EOG滅菌を院内から院外への委託滅菌に移行するにあたり経済面と器材の運用という2つの問題に直面したが,これらを解決して院内EOG滅菌を廃止することができた.