第95回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

滅菌

滅菌3

[78] 整形外科借用機器メニュー表乾燥不良に係る検証

金原 純司1, 田中 潔1, 渡邉 徹2 (1.北里大学病院 中央滅菌材料センター, 2.日本ステリ㈱)

【目的】
高圧蒸気滅菌における乾燥に係る設定については,ガイドライン等に記載はなく,当該施設に任されているとの解釈が一般的である.我々は,整形外科借用機器における滅菌にて同封する機器等の内容を記したメニュー表(以下メニュー表)に乾燥不良を経験した.そこで,類似環境において同封環境等による乾燥状況の検証をおこなったため報告する.
【方法】
トレー(27×21×4cm)内に疑似滅菌機器として鉄柱(径5×5cm,0.77kg×2)およびメニュー表(二つ折りA4コピー用紙5枚)を収容し,シーツにて2重包装(綿100%×1,ポリエステル100%(中心部防水加工,その他撥水加工)×1)後,高圧蒸気滅菌器(サクラ精機VSSR-G12)にて滅菌(余熱なし,滅菌温度135度,滅菌時間8分,乾燥時間30分)し,滅菌後速やかに開封しメニュー表乾燥状況を簡易水分測定器(BSIDE社EMT01)にて測定した.
方法1.メニュー表をそのまま収容,若しくは滅菌バッグ(HOGY製ハイブリッド滅菌バッグ)に挿入した上で収容の2群に分け各7回実施した.
方法2.鉄柱をペンチ(0.33kg×5)へ変更し,方法1と同様に各4回実施した.なお,いずれの方法も測定は複数個所おこない,最大値を結果とした.
【結果】
1.(鉄柱)そのまま収容した群の平均は35.7%,滅菌バッグに挿入した群の平均は6.4%であった.
2.(ペンチ)そのまま収容した群の平均は2.7%,滅菌バッグに挿入した群の平均は0%であった.なお,1例のみ滅菌バッグに肉眼的水滴の付着が見られた.
【考察】
高圧蒸気滅菌におけるメニュー表の乾燥促進には,滅菌バッグの利用と同様に余熱が利用できる機器との接触面を増やすことが必要であることが,あらためて示唆された.今回の実験はあくまでも簡易的なものであり残された課題も多いが,業務手順において,器械のならびに加えてメニュー表を乗せる位置を指定するなど,乾燥の質向上に取り組む必要性を再認識できた.