第95回日本医療機器学会大会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム4 材料部のヒヤリハットを話し合おう

座長:江島 豊(東北大学),橋本 素乃(東京医科歯科大学)

[シンポジウム4] 洗浄・滅菌業務におけるヒューマンエラーに関する実態調査の報告

久保木 修 (京滋滅菌業務研究会)

京滋滅菌業務研究会では,研究会およびセミナー参加者を対象にヒューマンエラーに関する実態調査をおこなった.回答者は127名であり経験年数の内訳は,1年目2%,2年目7%,3年目3%,4年目4%,5年目9%,6年以上77%であった.職種は複数回答で滅菌技師/士が54%,看護師28%,臨床工学技士2%,保有せず13%,その他3%であった.機器操作に関連するエラー(操作ボタン押し忘れやプログラム選択ミスなど)に経験したことがあるのは68%であった.経験した出来事(複数回答)を調査したところ,操作ボタン押し忘れ50%,プログラム選択ミス30%,カートリッジ装填ミス7%,ボイラ操作ミス4%,ガスボンベ操作ミス6%,洗浄剤接続ミス3%であった.どのようにエラーに気づくことができたかを調査すると(複数回答),自身で気が付いた47%,メンバーや上司から指摘32%,機器の工程完了時10%,機器の警報10%であった.さらにその結果について調査したところ特に影響はなかった50%,手術や検査などの処置に影響した6%,定時供給が遅延11%,洗浄や滅菌工程のやり直し15%,供給先からクレーム4%,作業時間が遅延した14%という結果であった.一方,エラーを発見したことがあると回答したのは79%であり,どのようにエラーを発見したかを調査すると,偶然発見した46%,チェック時21%,いつもと異なった結果19%,機器の警報13%であった.機器の操作忘れの結果により手術や検査への影響や定時供給が遅延など供給先に影響を及ぼしたのが21件確認されている.スタッフのエラーによる偶発事故が発生させないためには,機器の取り扱いスタッフの教育や訓練も必要ではあるが,機器に備え付けられたフェールセーフやフールプルーフなどに依存する仕組みも必要であると考える.