第96回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

洗浄2

洗浄2

座長:村越 智(東京大学)

[16] 水量10Lで効果的な洗浄を実現するには(災害時を想定した洗浄方法の実験)第3報

久保木 修1, 梶浦 毅司2, 石井 諭規3 (1.京滋滅菌業務研究会, 2.㈱イヌイメディックス, 3.乾商事㈱)

【はじめに】
効果的な洗浄を実現には十分な水量は欠かせない.しかし,災害等で十分な水量や熱源,物理的作用が確保できない場合,どのようにすれば人の手を介さずに均質に洗浄が可能であるのかを実験した.第94回大会では低温時の洗浄は5%中性酵素洗浄剤が効果を示すと報告し,第95回大会では低温時でも予備洗浄と浸漬洗浄とすすぎを組み合わせることが重要と報告した.今回,これまで使用した中性酵素洗浄剤(A洗浄剤)と低温時でも効果が期待できる中性酵素洗浄剤(B洗浄剤)を用いて同様の実験をおこなったので報告する.
【方法】
テストデバイスは止血鉗子のボックスロック部に羊血50μLを塗布し3時間放置したものを使用した.1回の洗浄に使用できる水量は10Lとした.洗浄工程は,テストデバイスに予備スプレー洗浄剤を散布して5分間放置し,6型ジョウロに入れた水を高さ約20cmから1L放水し予備洗浄をおこなった.次に浸漬洗浄は3Lの水に5%に希釈したA洗浄剤と2%に希釈したB洗浄剤を使用した.すすぎは,ジョウロに水を2L入れ3回放水した.CBB法で残留蛋白質量を計測した.今回もブラッシング工程は個人の能力により結果の再現性が取れないこと,低温での作業は従事者の負担が予測されるため除外した.
【結果および考察】
A洗浄剤の残留蛋白質量は50.94μg(79.47),B洗浄剤の残留蛋白質量は73.74μg(55.05)であった.試験時の浸漬温度は14℃,試験は2回実施し鉗子10本の平均値である.カッコは2回目の実験結果である.B洗浄剤は2%で同等の効果を示してたことが確認できた.B洗浄剤は,酵素以外の成分(界面活性剤)が,洗浄効果に反映していると考える.温度非管理での中性酵素洗剤の運用時には界面活性剤の添加量が多いものを選択すれば低温時でもある程度の洗浄効果が期待できると考える.