第96回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

医療安全

医療安全

座長:内田 荘平(福岡看護大学)

[18] 人工呼吸器の院内認定制度の導入とその効果

塚本 賢治 (社会医療保人ペガサス 馬場記念病院 医療機器管理(ME)部)

【はじめに】
生命維持管理装置である人工呼吸器は,小さなミスが大きなトラブルにつながる可能性がある.そのため人工呼吸器の保守管理,巡回による点検,講習会,機種別のチェックリスト作成等により安全対策に努めてきた.しかし当院では人工呼吸器管理に自信がない看護職員もおり,安全な人工呼吸器運用のためには,日々業務にあたる看護職員が自信を持てる環境を作ることが必要と考えた.
【目的】
院内独自の人工呼吸器認定制度を通じて,人工呼吸器に対する自信を付けてもらい,インシデント・アクシデント件数を減らす.
【人工呼吸器認定制度について】
看護部,医療安全管理室,呼吸器サポートチームと連携し,認定の運用,内容選定をおこなった.認定取得は専用の講習会の参加,認定試験の合格を条件とし,認定期間は2年間で,更新制とした.内容は当院で取り扱う呼吸器の種類,回路構成,機器のセッティング,使用中の呼吸器管理,アラーム管理とし,講習会の資料および試験問題を作成した.2018年4月より運用を開始し,初年度は看護部からのアナウンスもあり,取得希望者が多く,月4回講習会を開催した.同様に認定試験も月4回のペースで開催した.2年目以降は講習会・認定試験共に年4回開催した.認定取得者には認定証および取得年度を記載した認定シールを作成し,配布した.
【結果】
2020年1月現在,看護職員234名のうち217名(約90%)が認定を取得した.導入前の2016年度に臨床工学技士が巡回時に発見したインシデント件数は36件だったが,導入後の2018年度は18件,2019年度は6件,2020年度は2件であった.
【考察】
認定の内容を実務的なものにしたことで,日々の業務につながり,インシデント件数を減少させることができたと考えられる.
【結語】
今後も人工呼吸器認定制度を維持することで,安心安全な医療を提供できるよう,努めていきたい.