第96回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

トレーサビリティ

トレーサビリティ

座長:美代 賢吾(国立国際医療研究センター)

[25] 手術用鋼製器具の2次元シンボルマーキングに関する

北上 健人, 池田 大作, 真渓 貴也, 市川 洋一, 藤田 淳一, 中島 慎一 (ミズホ㈱)

医療安全を維持する手段の一つに手術用鋼製器具などのトレーサビリティがあり,各メーカから管理システムや2次元シンボル読取り装置(以下2Dリーダー)が種々開発され,多くの医療現場に採用実績として報告されている.当社もそれら管理システムを取り扱うメーカの1つであるが,鋼製器具に刻印された2次元シンボルの性状と,2Dリーダーの認識性能の関係を正しく理解する重要性を共通認識としたく,今回の研究報告とする.
例えば紙に印刷されたバーコードや2次元シンボルは,その印刷の濃度に依存するが容易に認識されるため,スーパーマーケットでの商品判別は一瞬である.しかし,金属表面に刻印される2次元シンボルのGS1データマトリックスは,刻印される表面性状(ヘアライン,鏡面,梨地,コーティングなど)や材質(SUS410,SUS420,アルミ合金など),その刻印方法(ドットピン,白色レーザ,黒色レーザなど)やセル構成(3×3,2×2,渦巻き状など),そしてその刻印深さなど様々なパラメータに依存しており,その組み合わせは数千を超えて無限である.
一方,2Dリーダーも心臓となるカメラの種類,照明,読取りエリアと深さの仕様や,制御ソフトの条件設定によって,その読取り性能は大きく左右される.つまり,読取り対象の2次元シンボルと,読み取る2Dリーダーはそれぞれ変数であり,その組み合わせは無限であるが故に,どれだけ読み取れるかがこの管理システムの重要なポイントとなってくる.これまで当社で検討した結果を説明し,この認識性能の正しい理解を深めたい.