第96回日本医療機器学会大会

Presentation information

Oral presentation

ものづくり/新技術

ものづくり/新技術

座長:沖野 晃俊(東京工業大学)

[38] ぱちんこ遊技機を用いた介護予防運動支援システムの有用性検討

茅野 功1, 宮崎 仁1, 野口 智行2, 三澤 颯3 (1.川崎医療福祉大学医療技術学部臨床工学科, 2.㈲グローバルスタンダード, 3.㈲三笠商事 福祉事業部)

【研究の目的】
本研究は,高齢者がレジャーとしてアミューズメント機器での遊技,とりわけ「ぱちんこ」に非常に人気が高い点に着目し開発した,ぱちんこ(以下遊技機)を用いた高齢者向け介護予防運動支援システムについて,その運動効果を定量的に測定し,有用性を検討することを目的とした.
【実験方法】
遊技機に対し,手指のグリップ運動によりぱちんこ遊技ができるよう改造を施した実験機を作成した.被験者は,ぱちんこをレジャーとして楽しむ20歳以上の若者21名(22~44歳)およびデイサービス利用者10名(71~83歳)とした.被験者はワイヤレス心拍センサおよびワイヤレス筋電センサを装着し,通常の運動を2分間実施(負荷4kg,0.6秒間隔(100Hz))(以下従来手法)後3分休憩し,その後実験機を用いた同様の運動(提案手法)を実施した.運動開始時,開始1分後および開始2分後それぞれにおける10秒間の平均心拍数と筋運動に伴う電位変化の総和(運動量)を比較した.
【結果および考察】
心拍数は若者およびデイサービス利用者いずれも時間経過に伴い上昇傾向が見られたが,提案手法と従来手法で有意な差は見られなかった.一方運動量の変化では,運動開始直後を100と正規化した場合,運動開始1分後の若者の運動量(平均±標準偏差)は従来手法で116.7±35.0に対し,提案手法では131.3±33.7となり有意な運動量の上昇(p<0.05)がみられた.また同様にデイサービス利用者では,従来手法で運動開始後の運動量が減少傾向にあることに対し,提案手法では上昇傾向がみられ,単調で飽きやすい運動に対しても持続しやすいシステムであることが示唆された.以上より,本提案手法は介護予防としての運動支援に有用なシステムになり得ると考察する.