第96回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

滅菌2

滅菌2

座長:大平 正樹(サクラ精機株式会社)

[47] 滅菌管理業務従事者を対象にした医療安全研修の取り組み

久保木 修1, 久保田 英雄2, 橋本 素乃2, 津嘉山 身衣子2, 田渕 翼3 (1.スリーエム ジャパン㈱, 2.東京医科歯科大学病院 材料部, 3.鴻池メディカル㈱東京営業所)

【はじめに】
手術医療を実施している病院施設において滅菌管理業務(Central Sterile Supply Department: CSSD,以下CSSD)は重要な役割を担っている.CSSDから供給された手術器械に不具合や数量の過不足,汚染の残留等の出来事が発生すると手術に影響を及ぼすことがある.手術器械の再処理は複数の従事者が介在し,各工程では手順書通りに業務を履行し,何度も確認作業をおこない供給している.しかし人依存の業務である以上,エラーが0になることはない.インシデントが発生した場合,再発防止策も重要であるが,なぜ発生したかやどのように発生するか等の原因も重要となる.CSSDの従事者は,洗浄・滅菌に関連する知識や技能はOJTを通して習得することが可能であるが,医療安全に関連する知識を習得する機会にばらつきがあると考える.今回,CSSD従事者を対象に医療安全に関する研修を実施したので報告する.
【方法】
研修は3回に分け,内容は用語の解説から事故が発生するメカニズム,再発防止対策の評価方法等とした.研修毎にミニテストをおこない正答率を確認するとともに,3回終了後,研修会とその内容に関する意識調査と理解度を確認するためミニテストを実施した.
【結果】
20名のアンケート結果によると,研修内容について,有意義12名,概ね有意義6名,あまり適当でない2名であった.研修の難易度について,適当13名,概ね適当7名であった.医療安全研修の必要性を確認したところ,必要19名,必要でない1名であった.ミニテストは20名全員が全問正解していた.
【考察およびまとめ】
研修で医療安全への基礎知識などは習得できたように思う.しかし,直ぐにはレポートの記入や報告・情報共有等の行動変容につながることは困難と考える.研修はあくまでも従事者の知識や考え方を一律にするものである.研修の効果を高めるためには実践的な施策等を準備する必要がある.