第96回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

洗浄評価

洗浄評価

座長:柴田 義浩(国立病院機構熊本再春医療センター)

[69] 再製造単回使用医療機器の清浄性評価における残留タンパク質回収法の最適化

植松 美幸, 宮本 優子, 迫田 秀行, 岡本 吉弘, 中岡 竜介, 配島 由二 (国立医薬品食品衛生研究所 医療機器部)

【背景】
再製造単回使用医療機器(SUD)の清浄性評価は,再使用可能な医療機器の評価法を参考として実施されている.しかし,再使用可能な医療機器の清浄性評価法は国毎に異なる.また,水溶性タンパク質は水抽出でも相応の回収率が得られると考えられるが,不溶性タンパク質の回収には可溶化等の工夫が必要である.
【目的】
本研究では,再製造SUDの清浄性評価における主要マーカの一つである残留タンパク質の回収法を最適化する一環として,SDS-PAGE用サンプルバッファー(SB)の効果について検討した.
【方法】
タンパク質は,ブタ新鮮血(100μL:タンパク質量14.7mg)を塗布・乾燥させたSUSおよびPET製プレート(15x50x1mm)から,ミリQ水(30mL:50℃/30分)またはSDS-PAGE用サンプルバッファー(2%SDS,100mM DTT,60mM Tris:30mL,93℃/20分)を用いて回収した.SB回収液を1mL採取し,PBS置換・濃縮した.定量試薬としては,Pierce BCA Assay Kit(Thermo Scientific)を使用した.プレート表面観察には,Keyence社製マイクロスコープ(VHX-5000)または顕微鏡(BZ-X710)を使用した.
【結果】
SUSおよびPETプレートに塗布したタンパク質は,SB抽出により100%回収された.プレート表面を観察した結果,残留物は全く認められなかった.一方,ミリQ水抽出したプレート表面にはフィブリン様の網目構造が観察された.
【まとめ】
残留物の評価結果から,SBは優れた抽出効果を発揮することが期待される.回収液中のタンパク質量が少なく,回収液全量のPBS置換・濃縮を要する場合,攪拌式セルの使用も有用である.現在検討している,抽出条件の最適化および各種溶媒による回収率の比較結果も併せて報告する.