第96回日本医療機器学会大会

講演情報

ポスター演題

ポスター演題

[P15] 新たに開発した手術用電動踏台の検証に関する研究

森田 康晴1, 吉岡 淳2 (1.社会医療法人みゆき会 みゆき会病院, 2.仙台赤十字病院 臨床工学技術課)

【背景】
整形外科分野における手術用途に移動型Cアーム (外科用X線撮影装置)を使用するが,装置移動時には手作業にて術者が使用する踏台の高さや位置を調整する必要がある.その他術中において術者の要望にその都度対応する必要があるため,踏台の抜き差しや移動は看護師業務を煩雑にしている現状がある.
【目的】
看護師の手術補助業務の改善を目指し,医工連携事業の一環として電動踏台を地域中小企業と共同開発し,臨床現場にて使用時の機能と効果を検証し,評価したので報告する.
【方法】
踏台の水平移動は足を用いておこない,高さ調節を電動式とした.現場からのニーズを元に,臨床工学技士主導にて,医工連携コーディネータ,企業と装置の構造や機能等を検討した.昇降スイッチは術者および看護師が操作できるように外付機構とし,高さ:175~314(mm)の範囲で電動させた.次に,実際に脊椎手術にてCアームを使用する時間含め1時間程度,整形外科医が踏台を使用し,その際医師ならびに看護師からユーザビリティテストを実施し,本装置の検証,評価をおこなった.
【総括】
テーブル寸法:W520×L630(mm),高さ:175~319(mm)(ゴム足接地時は5mm下がる),重さ60kg,耐過重:150kg,昇降操作:フットスイッチ(コード2m),電源コード長:3mの手術用電動踏台(啓装工業㈱,山形)を開発できた.電動踏台は不自由なく平行移動ができ,昇降はスムーズだったことから,整形外科手術の進行改善やスタッフの労務軽減に有用だった.一方,体重が偏った際に多少の不安定を感じた医師がおり,踏台の横幅に関して再検討する必要が考えられた.また,感染対策として構造や素材に改善の余地があった.新たに開発した手術用電動踏台を臨床現場で検証したことで,今後につながる意見を集約できた.