第96回日本医療機器学会大会

講演情報

ポスター演題

ポスター演題

[P4] 人工呼吸器回路の継続使用可能期間の検証

長島 孝行, 関根 槙吾, 佐藤 典明 (医療法人社団愛友会上尾中央第二病院 臨床工学科)

【目的】
現在,各指針やガイドラインでは人工呼吸器関連性肺炎(VAP)を予防するため,人工呼吸器回路の定期的な交換はしない方が望ましいといわれているが,実際の期間が明確化されていないため,調査をおこない実際の使用可能期間を検証することとした.
【方法】
対象患者6名(加温加湿器使用者1名,人工鼻使用者5名)に対し,検証開始時に人工呼吸器回路(以下回路)を交換し2週間後より24週間(6ヶ月間),回路内の細菌の有無と回路の耐久性を調査し回路の交換頻度を検証する.
細菌検査は2週間毎に回路のYピース(温度センサ挿入ポート)より綿棒を用いて検体を採取する.
加温加湿器は無菌試験(多項目の細菌数が検出可),人工鼻は細菌培養(細菌の有無のみ検出可)をおこない検出された場合は再度採取し無菌試験にて検出細菌の特定をおこなう.
細菌の検出が無ければ24週間検証を継続する.
回路の耐久性については毎日のラウンドにおいて破損の有無を目視確認し,また人工呼吸器の患者実測値より日々相違ないことを確認する.
なお,検証対象患者は初期装着日より4日以上経過しており晩期VAPの対象となるため,その原因菌である緑膿菌・アシネトバクター・MRSAを検証対象とする.
いずれの場合においても異常が検出されたら回路交換をおこない以後の検証は中止とする.
【結果】
加温加湿器回路においては検証開始直後に離脱となってしまったため,模擬的に検証をおこなったが,加温加湿器,人工鼻共に24週間の検証では細菌の検出はなく,回路にも異常は見られなかった.
【考察】
今回の検証において,24週間の連続使用では細菌の繁殖および回路に劣化は生じないことが実証できた.しかし耐久性の問題も懸念されるため,今回は24週間の検証となったが,今後はさらに検証期間を延ばし使用期間の延長を試みたいと思う.