2:10 PM - 2:20 PM
[40] 持続的血液濾過透析(CHDF)がメロペネム投与に与える影響についての検討
【はじめに】
当院においてCHDF施行中メロペネムを投与
するも炎症反応の増悪が疑われた一例を経験し
たため文献的考察を交え報告する.
【現病歴】
20XX年X月X日,前月末より認知症が進ん
でいると近隣住民より長男へ連絡が入り,様子
を見に行くと羸痩・嘔吐・ふらつきが見られた
ため救急車を要請.同日当院救急搬送.
【臨床経過】
来院時,胸部レントゲンで右肺浸潤影と血液
検査上CRP:0.1mg/dl,BUN:16mg/dl,クレ
アチニン:22.3mg/dl,eGFR:1.9であり,肺
炎と急性腎不全の所見を認めた.輸液管理と抗
生剤加療を開始したが,2日後BUN:176mg/
dl,クレアチニン:21.49mg/dlと改善が見られ
なかったためCHDFを開始した.入院時よりス
ルバクタムアンピシリン,クリンダマイシンで
肺炎治療を開始していたが右肺浸潤影が急速に
拡大し,CHDF開始時,CRP:16.1mg/dlと高
度炎症反応を認めた.翌日には22.03mg/dlと上
昇傾向となったため,メロペネム2g/dayへ切
り替えた.CHDF開始より2日後,BUN,ク
レアチニンともに減少したが,肺炎は悪化し,
CRPは24.3mg/dlと上昇していた.
【考察】
本症例はCHDF施行中にメロペネム投与をお
こなっていた.メロペネム投与により炎症反応
の鎮静化を図っていたが,高度炎症反応は軽快
傾向に至らず,増悪を認めた.このことからメ
ロペネムが適していない可能性も考えられる
が,CHDFによりメロペネムが十分な有効域を
保てていなかった可能性も考えられる.今回,
文献的検索をおこなったが,調べうる限りでは,
CHDFによる抗生剤の血中濃度変化についての
明確な知見が得られなかった.膜による違いの
有無や血中濃度に影響は少ないといった示唆は
なされているが明らかではない.本報告を今後
の臨床に活かすための一助とし,今後のさらな
る調査研究につなげていきたい.
当院においてCHDF施行中メロペネムを投与
するも炎症反応の増悪が疑われた一例を経験し
たため文献的考察を交え報告する.
【現病歴】
20XX年X月X日,前月末より認知症が進ん
でいると近隣住民より長男へ連絡が入り,様子
を見に行くと羸痩・嘔吐・ふらつきが見られた
ため救急車を要請.同日当院救急搬送.
【臨床経過】
来院時,胸部レントゲンで右肺浸潤影と血液
検査上CRP:0.1mg/dl,BUN:16mg/dl,クレ
アチニン:22.3mg/dl,eGFR:1.9であり,肺
炎と急性腎不全の所見を認めた.輸液管理と抗
生剤加療を開始したが,2日後BUN:176mg/
dl,クレアチニン:21.49mg/dlと改善が見られ
なかったためCHDFを開始した.入院時よりス
ルバクタムアンピシリン,クリンダマイシンで
肺炎治療を開始していたが右肺浸潤影が急速に
拡大し,CHDF開始時,CRP:16.1mg/dlと高
度炎症反応を認めた.翌日には22.03mg/dlと上
昇傾向となったため,メロペネム2g/dayへ切
り替えた.CHDF開始より2日後,BUN,ク
レアチニンともに減少したが,肺炎は悪化し,
CRPは24.3mg/dlと上昇していた.
【考察】
本症例はCHDF施行中にメロペネム投与をお
こなっていた.メロペネム投与により炎症反応
の鎮静化を図っていたが,高度炎症反応は軽快
傾向に至らず,増悪を認めた.このことからメ
ロペネムが適していない可能性も考えられる
が,CHDFによりメロペネムが十分な有効域を
保てていなかった可能性も考えられる.今回,
文献的検索をおこなったが,調べうる限りでは,
CHDFによる抗生剤の血中濃度変化についての
明確な知見が得られなかった.膜による違いの
有無や血中濃度に影響は少ないといった示唆は
なされているが明らかではない.本報告を今後
の臨床に活かすための一助とし,今後のさらな
る調査研究につなげていきたい.